国内バスケ

Bリーグ開幕節で生まれたドラマ、富山の浜口炎監督が9年率いた古巣・京都に連勝

森本茂樹

2020.10.07

開幕節で京都に完勝した富山。新加入のマブンガが、古巣京都を相手に2試合で68得点と爆発した。

 バスケットボールB.LEAGUE 2020-21シーズンが、10月2日にスタート。新型コロナウイルスによる外国人選手の入国の遅れにより、メンバーが揃わなかったり、コンビネーションに改善点はありながらも、感染拡大防止対策が取られた新しい生活様式の中で、全国各地で第1節の2試合が行われた。その中で、前シーズンの監督が開幕戦の相手となった京都ハンナリーズ対富山グラウジーズに注目した。

 B1西地区の京都は、前監督の浜口炎が率いる富山と対戦した。9シーズン京都を率い、チームをよく知る浜口ヘッドコーチ(HC)。対する京都を指揮するのは、昨シーズンまで滋賀レイクスターズのアシスタントコーチを務めた小川伸也。長年チームを率いてきた監督の後任ということには、気負いや難しさはないという小川は、「むしろチームに育まれた規律や意見を言い合える雰囲気のおかげで、チームに入りやすかった」とし、「開幕戦で富山とあたりますが、私よりも選手たちのほうが意識しているように思います」と試合前に語った。
 
 浜口HCとともに、京都の大黒柱のひとりであるマブンガも京都から富山に移籍した。203cmと長身ながら、オールラウンドに活躍するマブンガは、昨シーズン1試合35分近くプレーし、34試合で659得点を記録。多くのハンナリーズ ・ブースターの心をつかんできた。

 開幕戦のハンナリーズアリーナに集った観衆は、マブンガ、浜口ヘッドコーチを拍手で迎え、『おかえり』や『ありがとう』のボードも。9年もの長きにわたり、チームを率いてきながら、最終シーズンは19試合を残したままリーグ戦が中止に。ハンナリーズブースターに挨拶をする機会を得られないまま退団したことを気にかけていた浜口HCは、「どんな風に迎えられるのかな、と思っていましたが、会場の雰囲気が非常にうれしかったですね」と笑顔を見せた。

 試合は、1試合目、2試合目ともに富山が完勝。特にマブンガは、初戦でBリーグでのキャリアハイとなる46得点、2試合目は22得点・10リバウンド・10アシストのトリプルダブルを達成。チームを牽引した。浜口HCは、「ジュリアンは非常に賢い選手。チームに合流して1週間ほど。練習もまだ2、3回、ゲームも1試合だけだったが、チームメイトの特徴をとらえてプレーしてくれた」と信頼を寄せる。

 開幕節は富山の完勝という形になったが、新外国人選手の来日が決まれば、両チームともまた今節とは違うチームになる。京都の小川HCは、「今のチームが進化するというよりも、チームががらりと変わることになり、つくり直すイメージ」とも語る。今シーズンは、そういう意味でも毎節チームが変化していくシーズンに。残り58試合、シーズンが無事終了することを願いながら、楽しみにしたい。

文●森本茂樹