NBA

「今やっていることをやり続けるんだ」ウォールが“元相棒”のビールにメッセージ。今季の意気込みも語る

秋山裕之

2020.12.07

ウォール(左)が10年間プレーしたウィザーズと8年間共闘したビールにメッセージを送った。(C)Getty Images

 12月2日(日本時間3日、日付は以下同)に成立した大型トレードで、オールスター選出5度を誇る司令塔、ジョン・ウォールがヒューストン・ロケッツへと移籍した。

 2010年のドラフトでワシントン・ウィザーズから1巡目1位指名されたポイントガードは、10年間在籍したチームへ別れを告げたが、3日にチームの練習施設で8年間共闘したバックコートの相棒ブラッドリー・ビールと会い、会話の場を持ったという。

「彼には成功を願っていると伝えた。今やっていることをやり続けるんだとね。そしてフランチャイズを引っ張っていけと言った。彼は今、フランチャイズを代表する男だからね。それがあの球団も望んでいることだ」

 2018年の年末に左かかとにある踵骨棘(しょうこっきょく)の修復手術を受けるため戦線離脱したウォールは、その後アキレス腱の断裂もあって昨季を全休。非公式のアシスタントコーチとしてチームに帯同し、ベンチから見守っていた。ビールは昨季選手として成長を遂げ、リーグ2位の平均30.5点に6.1アシストをマークする大暴れを見せてウィザーズを牽引。

 ウォールは相棒へ「彼は(フランチャイズプレーヤーの座を)勝ち取るにふさわしい。スーパースターのひとりなんだ」とエールを送っていた。

 そしてロケッツへ加入したウォールは、6日にチーム練習へ初参加。その後にメディアとの会見に姿を現し、古巣について「今季、チーム全体、それにあのフランチャイズが成功を収めることを願っているよ」と発言。
 
 だがウォールはすでに今シーズンへと切り替えており、ロケッツの一員としてプレーすることに集中していると明言していた。

「今俺が最もフォーカスしているのは新しいチーム、ロケッツのこと。俺が個人として成し遂げたいのは、(コートへ)復帰してオールスター選手になること」

 ロケッツはウォールのほか、昨季から残っているエリック・ゴードンやPJ・タッカー、ダヌエル・ハウスJr.といった選手がおり、このオフには元オールスターセンターのデマーカス・カズンズ、期待の若手ビッグマンのクリスチャン・ウッドを加えることに成功。

 だがフランチャイズプレーヤーのジェームズ・ハーデンはこの日行なわれたチーム練習に不参加。個人としてのワークアウトこそこなしたものの、リーグのプロトコルによって参加できなかった。

 それでもウォールはハーデンが今季もロケッツでプレーするだろうと話しており、『ESPN』にも「俺がトレードされてきてから、俺たちは同じ考えを共有しているんだ」と語っていた。

 スティーブン・サイラス・ヘッドコーチを新たな指揮官に据えたロケッツ。今季はハーデンとウォールがチームを牽引していくだけに、両選手がコミュニケーションを取っていることは朗報だが、チーム全体として見ると不安な点があるのは否定できない。

 そういった状況の中、ウォールがリーダーシップを発揮してチームをまとめ上げることができるのか。この点にも注目していきたい。

文●秋山裕之(フリーライター)

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