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NBA

『ベイビー・シャック』が引退。2006年日本開催の世界選手権で、アメリカ代表を破ったギリシャの巨漢

小川由紀子

2020.12.13

ギリシャ代表として活躍したソフォクリス・スコーツァニティスが現役引退を発表した。(C)Getty Images

ギリシャ代表として活躍したソフォクリス・スコーツァニティスが現役引退を発表した。(C)Getty Images

 かつてギリシャ代表に、『ベイビー・シャック』と呼ばれたビッグマンがいたことを覚えているだろうか。

 その名はソフォクリス・スコーツァニティス。2006年に日本で開催された世界選手権(現ワールドカップ)、さいたまスーパーアリーナで、レブロン・ジェームズやドゥエイン・ウェイド、カーメロ・アンソニーらを擁するアメリカ代表を倒したギリシャ代表の一員だ。

 その彼が、12月10日に行なわれたイスラエルメディアとの生インタビューで、現役引退を発表した。1985年生まれの35歳。まだやれる、という思いもあって決断するまで気持ちは揺れ動いたそうだが、「コロナ禍にある今の世界情勢では、リーグの続行やいろいろなことが困難な状況にある。なのでこの機に引退を決意した。今後は家族との時間を増やして、妻のキャリアにも協力したい」と、決断に至った心境を明かした。

 身長206cm、体重は最も多い時には190kgを超えたこともある巨漢。プロデビューは15歳と早熟で、アキレス腱を損傷した2016年12月以降はコートで姿を見る機会は激減していたが、20年に及ぶキャリアの間に、数々の輝かしい栄光を手にした。
 
 イスラエルの強豪マッカビ・テルアビブでは、スターティングセンターとして2014年のユーロリーグ優勝に貢献。この年のファイナル4は、近年のユーロリーグ史でも飛び抜けて劇的な展開だった。

 レアル・マドリー、CSKAモスクワ、バルセロナとともに最終決戦に挑んだマッカビは、ダークホースという立ち位置ながら、準決勝では残り5秒の大逆転でCSKAを撃破。決勝ではオーバータイムの末にレアルを破り、9年ぶり6回目の頂点に立った。

 冒頭で触れた2006年の世界選手権も振り返っておこう。ギリシャ代表が101-95と100点ゲームでアメリカ代表を葬った一戦は、今でもギリシャ国民を最も熱狂させた名試合として記憶されている。当時21歳だったスコーツァニティスはこの試合、ベンチから17分のプレータイムで14得点をマーク。ゴール下の激しいぶつかり合いを制しただけでなく、巨体を揺らして速攻の先陣を切るといった驚きのアスレティック能力を発揮するなど、予想を裏切る彼のプレーがアメリカのリズムを狂わせたのは間違いなかった。彼自身、この試合のビデオを今でも時々見返すというが、自他ともに認めるスコーツァニティスのキャリアのハイライトのひとつとなった。
 
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