12月30日（日本時間31日、日付は以下同）に行なわれたサンアントニオ・スパーズ対ロサンゼルス・レイカーズ戦で、ＮＢＡ史に新たな１ページが刻まれた。第２クォーター残り３分56秒、スパーズのグレッグ・ポポビッチ・ヘッドコーチ（ＨＣ）がレフェリーの判定を不服として退場処分に。そのためベッキー・ハモン・アシスタントコーチが代理ＨＣを務め、臨時ではあるが“ＮＢＡ史上初の女性指揮官”となったのだ。

　ハモンは2014年に“ＮＢＡ、そして北米４大スポーツ初となるフルタイムの女性アシスタントコーチ”としてスパーズに入閣。そこから着実にコーチングキャリアを歩み、今回の大抜擢と相成った。
  　ただ、名将ポポビッチから試合途中にいきなり指揮官のバトンを受けたとあっては、流石のハモンにも戸惑いがあっただろう。退場の際にポポビッチから何かしらのアドバイスを受けたのかと思われたが、ゲーム終了後にハモンが明かしたところによれば、ポポビッチはハモンを指差しながら“You got it（わかってるな）”とだけ言い残しコートを去っていったという。しかしこのたった３ワードが、自身の気持ちを吹っ切れさせたそうだ。

　結局試合には107－121で敗れたものの、先発ポイントガードのデジャンテ・マレーは「彼女の未来は明るい。間違いなく正しい道を進んでいるし、ここにいるみんなが彼女に感謝しているよ」とハモンを称賛。またエースのデマー・デローザンは「彼女は俺たちの仲間だ。彼女が話す時、俺たちは集中して耳を傾ける。彼女がいてよかった」と話していた。

　リーグ史にその名を刻むとともに、この試合で大きな経験を積んだハモン。近い将来、正式なＨＣとして手腕を振るう彼女の姿が見られるかもしれない。

構成●ダンクシュート編集部

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