現在30歳のスコアリングガードは14、19年のプレーオフ1回戦ではシリーズ突破を決める決勝弾を決めるなど、クラッチシューターとしても一級品。勝負所で何度もビッグショットを決めることから“デイム・タイム”の異名を取っている。
人気と実力を備えたスーパースターのリラードだが、プレーオフでは19年のカンファレンス決勝進出が最高。過去2年はいずれも1回戦で姿を消しており、昨季はロサンゼルス・レイカーズ、今季はデンバー・ナゲッツ相手に平均34.3点、10.2アシストと爆発するも、チームは2勝4敗で敗れた。
この結果を受け、フロントはリラードを1年目から指導してきたテリー・ストッツ・ヘッドコーチ(HC)を解任した。
かつてリラードは「俺はここで現役を終えたい。ポートランドにチャンピオンリングをもたらしたい」とブレイザーズに忠誠を誓っていた。さらに今年5月にも「チャンピオンシップを勝ち取りたい。それをこの街で成し遂げたいんだ」と語っていたが、またもプレーオフで結果を残せず、トレードの噂が挙がっている。
移籍先にはニューヨーク・ニックスとレイカーズという大都市チームが挙がっているが、新たな候補に浮上したのがニューオリンズ・ペリカンズだ。
ニューオリンズのライター、シャメット・ドゥアによると、ペリカンズはブレイザーズにブランドン・イングラム、ニッケル・アレクサンダー・ウォーカー、ジャクソン・ヘイズら、複数の若手タレントを差し出せる上、最大で9つのドラフト1巡目指名権も用意できるという。
今季のペリカンズはライジングスターのザイオン・ウィリアムソン、イングラム、ロンゾ・ボールらを中心に躍進が期待されたものの、31勝41敗(勝率43.1%)でウエスタン・カンファレンス11位タイと伸び悩んだ。その原因は3点差以内の試合で3勝10敗、3ポイントとフリースロー成功率はリーグ下位という勝負弱さだった。
そんなチームにとってシュート力が高く、クラッチシューターでもあるリラードは適任と言える。
ザイオン&リラードというコンビも魅力的だ。前者がインサイドでのプレーを好むのに対し、後者はアウトサイドが中心と、プレースタイルも異なるため、お互いのスペースを潰す心配もない。また、クローザーのリラードと組むことで、20歳のザイオンやそのほかのメンバーもステップアップが見込める。
ブレイザーズから見ても、このトレードで23歳のイングラムやドラフト指名選手ら、フランチャイズの未来を担えるタレントを複数獲得でき、サラリーキャップの削減(リラードの来季年俸は4375万ドル)にもつながるため、決して悪い話ではない。
7月に31歳を迎えるリラードは、新HCにチャンシー・ビラップスを迎えたブレイザーズの方向性に不満を抱いているという噂もある。プロ入りからポートランドにすべてを捧げてきた背番号0は、この夏にチームを去るのか? その動向から目が離せない。
構成●ダンクシュート編集部