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「全く予想しちゃいなかった」カーメロがニックス復帰とレイカーズ入りで揺れた“激動のオフ”を語る<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2021.09.16

古巣ニックスに復帰する可能性もあったというカーメロだが、再び家族の元を離れて優勝を目指す決断を下した。(C)Getty Images

 現地時間9月15日、今夏にロサンゼルス・レイカーズへ移籍したカーメロ・アンソニーが、米メディア『Empire Sports Media』のインタビューに応じた。

 すでに新チームへ合流し、28日から始まるトレーニングキャンプに向けてコンディションを整えている37歳の大ベテラン。だが、今夏のFA戦線では、生まれ故郷のニューヨーク・ニックスへ復帰する可能性もあったという。

 カーメロは当時の心境をこう告白している。

「難しかった。俺はニューヨークに家を買っているのによそへ動いていたからね。予想外だったんだ。息子はニューヨークで学校が始まる。だから俺はここに、家にいるとばかり思っていた。レイカーズから声がかかるとは全く予想しちゃいなかったんだ」

 レイカーズの入団会見で、2003年のドラフト同期のレブロン・ジェームズから「お前が欲しい。今こそ一緒にやる時だ」と口説かれて加入を決断したと明かしたカーメロは、「(チャンピオンシップを)勝ち取るという素晴らしいチャンスがある。でも何日間か要したね。じっくり座って分析し、決断を下すために、本当にいろんなことを掘り下げて考えた」とも語っている。

 生まれ故郷のチームの一員として家族や地元の友人の目の前でのプレーは、選手として誇らしい。さらにニックスには金銭的にも余裕があったため、カーメロはベテラン最低保証年俸ではなくもっと高額な契約を締結してもおかしくはなかった。
 
 それでもカーメロは、自身のなかにある確固たる理由の元でレイカーズ入りを決断したと語る。

「ほとんどの人々にとって、(家族のいる場所でプレーするのは)おそらく簡単な決断になるだろう。でも俺の場合はそうじゃないんだ。そうすることによって、俺は多くのことを横一線に並べてやらなきゃいけない。ワークアウトの代わりにそういったことをしなきゃいけないからね。

 俺としてはあと1年、家族の元を離れて、子どもたちがいないところでプレーする方が快適なんだ。このことを理解してくれる人はあんまりいないだろう。難しい部分だからね。でもバスケットボールの面で言えば、俺には簡単なことなのさ」

 新天地へと旅立ったベテランスコアラーは、自身初のチャンピオンシップ獲得というキャリアの中で残された唯一と言ってもいい仕事に集中するため、レイカーズ移籍を決断したのである。

 レギュラーシーズンとプレーオフの期間を合わせると約8か月。長丁場の戦いの間には愛すべき家族に会いたくなる日もあるだろう。それでも、今回の移籍はあくまでビジネスであり、カーメロにとっては王座獲得のために示した犠牲でもある。はたして、リーグ史に名を残す稀代の点取り屋はレイカーズで悲願のNBAチャンピオンになれるのか。まもなくその挑戦が幕を開ける。

文●秋山裕之(フリーライター)
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