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ルーキー時代のカリーの”背中を押した”ロケッツHCが当時を回顧「彼は教わることを喜んでいた」<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2021.09.26

サイラス(左)はウォリアーズのアシスタントコーチ時代に、駆け出しだったカリーを指導した。(C)Getty Images

 現地時間9月24日(日本時間25日、日付は以下同)。ヒューストン・ロケッツは公式YouTubeチャンネルでスティーブン・サイラス・ヘッドコーチ(HC)のドキュメンタリーを公開した。

 元HCのポールを父に持つスティーブンは、2000-01シーズンにアシスタントコーチ(AC)としてシャーロット・ホーネッツでNBAデビュー。その後クリーブランド・キャバリアーズ、ゴールデンステイト・ウォリアーズ、ホーネッツ、ダラス・マーベリックスのACを経て、昨季ロケッツの指揮官に就任した。

 だが昨季のロケッツは開幕前にラッセル・ウエストブルック(現ロサンゼルス・レイカーズ)とジョン・ウォールをトレードしたほか、シーズン中にはジェームズ・ハーデンをブルックリン・ネッツ、PJ・タッカー(現マイアミ・ヒート)をミルウォーキー・バックスへ放出。新加入のウォールやクリスチャン・ウッドは奮闘したものの、リーグワーストの17勝55敗(勝率23.6%)に沈んだ。

 そんなサイラスは06年から11年までウォリアーズでACを務めており、ステフィン・カリーがルーキーの頃に多くの時間を共にしてきたという。

「彼はシャーロットからやって来た。そして私はシャーロットで長い間過ごしてきたんだ。(ホーネッツで)父は彼の父(デル・カリー)をコーチしていた。だから我々には多くの繋がりがあるんだ」
 
 ドキュメンタリーの中でそう口にしたサイラスは、カリーのルーキーシーズンについて振り返り、今や定番ともなったボール2個を同時にドリブルするメニューについても明かしている。

「毎日、私たちはジムにいたよ。どんなことがあろうと練習に励んでいた。まるで彼が自分の家にいるかのようにね。そこでボール2個を使ってドリブルしていくメニューを始めたんだ。早々とジムにやって来て、彼があのドリルをこなしているのを見ると今では笑ってしまうけどね」

 3ポイントでバスケットボール界のゲームチェンジャー(変革者)となったカリーだが、自由自在のボールハンドリングも魅力のひとつ。試合前のワークアウトや来日した際にもボールを2個使ったトレーニングをこなしており、片手でドリブルしつつ、クロスオーバーやレッグスルー、ビハインド・ザ・バックを繰り出すなどハンドリング強化に役立てている。

 サイラスはキャリア初期のカリーについて「周囲は彼がシュートできると分かっていた。でもスローで小さいと思っていたんだ」と明かし、「でも身体を鍛え上げていった。それに正しいマインドを持っていたし、彼は教わることを喜んでいたんだ」とその成長に目を細めていた。
 
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カリーはサイラスについて「僕の背中を押してくれた」