NBA

ウォールと良好な関係を築くグリーンが“兄貴”の復帰を熱望「コートに戻ってきてほしいね」<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2021.10.30

去就が不透明なウォールだが、大型新人グリーンとは良好な関係を築いているようだ。(C)Getty Images

 2021-22レギュラーシーズンが開幕して約1週間。ヒューストン・ロケッツは戦前の予想通り、1勝4敗と大きく負け越している。

 ロースターにはビッグマンのクリスチャン・ウッドやベテランのエリック・ゴードン、新人ジェイレン・グリーンに若手のケビン・ポーターJr.といった選手たちがいるものの、戦力不足なのは否めず。さらに、ジョン・ウォールは9月にチーム側と双方合意の上でトレード先を探していくと報じられており、コートに立つことなく、移籍先が定まっていないという状況にある。

 アキレス腱断裂から復活した昨季、ウォールは40試合に出場し、平均32.2分のプレータイムで20.6点、6.9アシスト、1.1スティールを記録。ただ、オールスター選出5度を誇る31歳は、まだまだ先発級の実力を誇っているものの、今季のロケッツはポーターJr.とグリーンをバックコートでスターターとして起用していく方針を掲げているため、事実上の"構想外"となっている。

 そんななか、現地時間10月27日(日本時間28日、日付は以下同)のチーム練習後、ウォールと新人グリーンが1対1で激突。ウォールはドライブからファウルを誘いつつレイアップを決めるシーンもあったのだが、勝利したのは19歳のルーキーだった。

 対戦後、「俺はまだ70%にも届いていない状態なんだ。お前は100%だが、俺はそうじゃない」と話していたというウォール。ただ、グリーンは「彼は今でも凄い自信を持っている。僕らはいい関係だから、彼には戻ってきてほしいね」と笑みを浮かべていたそうだ。
 
 新人王の筆頭候補に挙げられているグリーンは、24日のボストン・セルティックス戦で8本の3ポイントを含む30得点を奪うなど、前評判通りの活躍を披露。チームは低迷しているなかで、大型ルーキーは「僕は何よりも勝ちたいんだ」と意気込んでいる。

 スティーブン・サイラスHC(ヘッドコーチ)はグリーンについて「彼は間違いなく才能に恵まれている。そして成功を収めるために多くのプレッシャーを自分自身にかけている。でも今夜(セルティックス戦)はそうではなかったようだね。純粋にプレーしていたよ」と評価。そして期待の新人を誰よりも支えているのが、ほかならぬウォールのようだ。

 ウォールについて「彼はアドバイスをたくさんくれるんだ。一緒に映像を観てくだらない話とかもしてる」と切り出したグリーン。続けて「彼のような兄貴がいてくれるのはいいことさ。彼は長い間リーグにいて、コート内外で多くの知識を持っているんだから」と口にした。

 再建中のロケッツに在籍することは、勝利を欲するウォールにとって難しい部分もあるだろう。ただ、その豊富な経験をコート内外で若手有望株に還元する役割も重要な仕事だ。ウォールの寵愛を受けたグリーンらが、リーグを席巻する日もそう遠くないかもしれない。

文●秋山裕之(フリーライター)

【PHOTO】NBA最強の選手は誰だ?識者8人が選んだ21世紀の「ベストプレーヤートップ10」を厳選ショットで紹介!
NEXT
PAGE
【動画】新人王筆頭!30得点を叩き出したグリーンのセルティックス戦ハイライト