NBA

ザイオンとイングラムの離脱で1勝10敗のリーグ最下位に沈むペリカンズ。それでもチームの雰囲気が明るい理由<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2021.11.09

ペリカンズはエースのザイオン(左)で開幕から1勝10敗と苦戦を強いられているが、新HCのグリーン(右)がチームにポジティブな影響を与えているという。(C)Getty Images

 現地時間11月5日(日本時間6日、日付は以下同)、開幕10戦目のゴールデンステイト・ウォリアーズ戦に41点差で大敗。8日のダラス・マーベリックス戦にも16点差で敗れ、1勝10敗のリーグ最下位に沈んでいるニューオリンズ・ペリカンズ。

 エースのザイオン・ウィリアムソンが今夏に右足を骨折し、開幕に間に合わないどころか、回復に予想以上の時間がかかっていることが不振の要因のひとつなのは間違いない。今季からチームを率いるウィリー・グリーン・ヘッドコーチ(HC)にとっては難しいチャレンジだ。

 しかし現地でのレポートによれば、フロントスタッフや選手たちはみな、グリーンHCを信頼し、前向きな姿勢を保っているという。

 ペリカンズのバスケットボール運営部門のバイスプレジデントを務めるデイビッド・グリフィンは、「厳しい立場にある彼には申し訳なく思うが、彼は日々、士気を高め、みなのやる気を引き起こすという点において、素晴らしい仕事をしてくれている」と称賛し、チーム第2エースであるブランドン・イングラムも、グリーンHCの存在のおかげで、チームにはポジティブな雰囲気が流れているとコメントしている。

「前の試合を見直して、改善すべき点をみんなで話し合っている。全員がしっかり団結しているんだ」
 
 またイングラムは、新指揮官についての印象も話している。

「常に冷静で、落ち着いて状況を観察している。必要があれば声に出して指示してくれるが、それよりも、選手にはむしろ失敗を経験させ、そこから改善点を自ら見出させることで、成長させる手法を取っている。彼自身が選手だった経験から、コート上でのことは選手自身が把握しているとわかっている。だから、外から見たことで動かそうとせず、僕たちのその感覚を信頼して任せてくれているんだ」

 グリーンは2003年のドラフトでシアトル・スーパーソニックス(現オクラホマシティー・サンダー)から2巡目41位で指名されると、当日にフィラデルフィア・セブンティシクサーズにトレード。15年に引退するまで、5球団(シクサーズ、ニューオリンズ・ホーネッツ、アトランタ・ホークス、ロサンゼルス・クリッパーズ、オーランド・マジック)で通算731試合に出場したシューティングガードだった。

 現役引退後に彼をコーチ職に導いたのは、ウォリアーズHCのスティーブ・カーだ。カーは、メディアのアナリストをしていた頃から、現役選手だったグリーンとバスケットボールについて深く語り合う機会を持ち、彼のバスケットボールIQの高さと、物腰の柔らかい人柄を見込んで、指導者としての素質に目をつけていた。
 
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グリーンにHC職を勧めたのはサンズのウィリアムズHC