ゴールデンステイト・ウォリアーズのステフィン・カリーについて、"世界最高のシューター"と聞いて異論を挟む者は少ないだろう。
プロ13年目の33歳は、現在キャリア通算3ポイント成功数でNBA歴代2位。レイ・アレン(元シアトル・スーパーソニックスほか)が持つリーグ記録(2973本)更新まであと16本に迫って迎えた現地12月8日のポートランド・トレイルブレイザーズ戦では17本中6本を沈め、残り10本とした。
そんななか、自身も現役時代はシュートが売りの司令塔として鳴らし、今季からブレイザーズで指揮を執るチャンシー・ビラップス・ヘッドコーチ(HC)が、試合前にカリーについて興味深い持論を述べていた。
「彼は史上最高のコンボガードだと思う。私のなかで、彼はポイントガード(PG)でも、2ガード(シューティングガード/SG)でもない。彼はこの(コンボガードという)ポジションにおける史上最高の選手だ」
カリーのキャリア成績は、平均24.3点、4.6リバウンド、6.5アシスト、1.68スティール。代名詞の3ポイントは成功率43.2%、平均成功数3.8本を誇る。
登録ポジションはルーキー時代から一貫してPGだが、そのプレースタイルは以前までの司令塔像とは大きく異なる。ビラップスHCが言うように、この男をマジック・ジョンソンやジョン・ストックソン、ジェイソン・キッドのようなPG、あるいはアレン・アイバーソンやマイケル・ジョーダン、コビー・ブライアントのようなSGに分類するには違和感がある。
ウォリアーズはカリーのシュート力を最大限に生かすべく、ドレイモンド・グリーンやアンドレ・イグダーラといったプレーメークに長けたフォワードを周囲に置くスタイルを長年採用してきた。それも手伝って、カリーを純粋なPGと考える人は皆無だろう。それでも、ビラップスはカリーの試合への影響力を高く評価する。
「彼は皆のプレーする方法を変えたという意味で、バスケットボール史上最も影響を及ぼした選手の1人。面白いのは、皆が彼に影響を受けてプレーしているのに、ステフ・カリーは唯一無二のプレーをしているということだ」
カリーのようなクイックリリースやシュートレンジの広さ、ボールハンドリングが備わった選手はほかにもいるかもしれない。だがカリーが特別たる所以は、持ち前のバスケIQの高さからくるオフボールの動きにある。
グリーンやイグダーラとの連携では瞬時の判断からスクリーンプレーやピック&ロール、ゴールへのカットなど、様々なバリエーションから得点を量産。さらに相手チームがカリーの動きに注視することで、味方がフリーになるという好循環が生まれている。
カリーが歴代最高のPGに挙げられることはないかもしれない。しかし、彼がNBAに3ポイント全盛時代をもたらしたゲームチェンジャー(変革者)であるという事実は、これからも決して変わることはないだろう。
文●秋山裕之(フリーライター)
プロ13年目の33歳は、現在キャリア通算3ポイント成功数でNBA歴代2位。レイ・アレン(元シアトル・スーパーソニックスほか)が持つリーグ記録(2973本)更新まであと16本に迫って迎えた現地12月8日のポートランド・トレイルブレイザーズ戦では17本中6本を沈め、残り10本とした。
そんななか、自身も現役時代はシュートが売りの司令塔として鳴らし、今季からブレイザーズで指揮を執るチャンシー・ビラップス・ヘッドコーチ(HC)が、試合前にカリーについて興味深い持論を述べていた。
「彼は史上最高のコンボガードだと思う。私のなかで、彼はポイントガード(PG)でも、2ガード(シューティングガード/SG)でもない。彼はこの(コンボガードという)ポジションにおける史上最高の選手だ」
カリーのキャリア成績は、平均24.3点、4.6リバウンド、6.5アシスト、1.68スティール。代名詞の3ポイントは成功率43.2%、平均成功数3.8本を誇る。
登録ポジションはルーキー時代から一貫してPGだが、そのプレースタイルは以前までの司令塔像とは大きく異なる。ビラップスHCが言うように、この男をマジック・ジョンソンやジョン・ストックソン、ジェイソン・キッドのようなPG、あるいはアレン・アイバーソンやマイケル・ジョーダン、コビー・ブライアントのようなSGに分類するには違和感がある。
ウォリアーズはカリーのシュート力を最大限に生かすべく、ドレイモンド・グリーンやアンドレ・イグダーラといったプレーメークに長けたフォワードを周囲に置くスタイルを長年採用してきた。それも手伝って、カリーを純粋なPGと考える人は皆無だろう。それでも、ビラップスはカリーの試合への影響力を高く評価する。
「彼は皆のプレーする方法を変えたという意味で、バスケットボール史上最も影響を及ぼした選手の1人。面白いのは、皆が彼に影響を受けてプレーしているのに、ステフ・カリーは唯一無二のプレーをしているということだ」
カリーのようなクイックリリースやシュートレンジの広さ、ボールハンドリングが備わった選手はほかにもいるかもしれない。だがカリーが特別たる所以は、持ち前のバスケIQの高さからくるオフボールの動きにある。
グリーンやイグダーラとの連携では瞬時の判断からスクリーンプレーやピック&ロール、ゴールへのカットなど、様々なバリエーションから得点を量産。さらに相手チームがカリーの動きに注視することで、味方がフリーになるという好循環が生まれている。
カリーが歴代最高のPGに挙げられることはないかもしれない。しかし、彼がNBAに3ポイント全盛時代をもたらしたゲームチェンジャー(変革者)であるという事実は、これからも決して変わることはないだろう。
文●秋山裕之(フリーライター)