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NBA過去25年で最長距離の決勝弾!ヒーローとなったグラハムは「何とかしてリードしたかった」<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2021.12.18

終盤までもつれた一戦は劇的な決着に。最後はグラハムのミラクルショットでペリカンズが勝利した。(C)Getty Images

終盤までもつれた一戦は劇的な決着に。最後はグラハムのミラクルショットでペリカンズが勝利した。(C)Getty Images

 現地時間12月15日(日本時間16日)にオクラホマ州のペイコム・センターで行なわれたニューオリンズ・ペリカンズとオクラホマシティ・サンダーによる一戦は、同点14回、リードチェンジ15回という激戦に、そして最後は史上稀に見るエンディングとなった。

 第4クォーターは終始4点差以内で試合が進み、残り1分57秒にブランドン・イングラムのジャンパーが決まってペリカンズが4点リードを奪うも、ホームのサンダーも負けじとシェイ・ギルジャス・アレキサンダーが3ポイントとフリースローで加点。残り2.3秒には31フィート(約9.4メートル)の位置からディープスリーをヒットし、110-110の同点に。

 エースの殊勲の活躍で追いついたことで、サンダーの選手や観客はもちろん歓喜。会場中の誰もが延長戦に持ち込めると確信したに違いない。

 だが勝負を諦めていなかったペリカンズのデボンテ・グラハムは、エンドラインからボールを受けると約61フィート(約18.6メートル)の距離からブザーとほぼ同時に遠投。この超ロングショットが見事にリングへ吸い込まれ、ペリカンズが113-110の劇的勝利を収めた。

「何とかしてリードしたかった。僕はこのまま退きたくなかったんだ。そしたらJ-Hart(ジョシュ・ハート)がパスしてくれて、飛ばせただけさ」。試合後、グラハムは誇らしげにそう振り返った。唖然とするサンダーの選手たちと会場のどよめきとは裏腹に、ペリカンズが歓喜に沸いたのは言うまでもない。
 
『ESPN』のデータによると、グラハムの一撃は過去25シーズンで最も距離の長い決勝ブザービーターで、ラスト5秒以内で30フィート以上の距離から複数回の同点または逆転となるショットが決まったのも初めてだったという。

 さらに『Second Spectrum』によると、ギルジャス・アレキサンダーが沈めたディープスリーが決まる確率は14.1%、グラハムのミラクルショットの確率は3.5%、両者合わせると0.5%という奇跡の一夜となった。

「サンダーの選手が僕のところへやってきてゲームボールをくれたんだ。そこで『あんたへのクリスマスプレゼントだ』と言ってきた。彼らもこの結末がどれほどのことだったか理解したんだと思う。プレゼントしてくれたことに感謝してるよ」

 見事この一戦を制したペリカンズは、イングラムがゲームハイの34得点に8リバウンド、4アシスト、ヨナス・ヴァランチュナスが19得点、16リバウンド、グラハムが15得点、8アシスト、ハートが11得点、7リバウンド、5アシストで勝利に貢献した。

 イングラムは「シェイがあのスリーを決めた後、僕としてはまだ大きなショックを受けていた」と率直な思いを明かす。だが「デボンテはすごく集中していた。ジョシュ・ハートもね。まさかあれが入るとは。彼はとんでもないショットを決めてくれたよ」とグラハムの勝利への執念を絶賛していた。

 現在ペリカンズは9勝21敗(勝率30.0%)でウエスタン・カンファレンス14位、サンダーは8勝19敗(勝率29.6%)で同15位。どちらも下位に沈んでいるとはいえ、勝利を掴むべく素晴らしい戦いを演じた両軍に拍手を送りたい。

文●秋山裕之(フリーライター)
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