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NBA

必然的の決別、和解の真相、そして永遠の別れ――シャック&コビーが辿った紆余曲折のキャリア【NBAデュオ列伝|後編】<DUNKSHOOT>

出野哲也

2022.02.14

04年に決別したシャック(右)とコビー(左)。だが、のちに突然の和解。09年オールスターではダブルMVPに輝いた。(C)Getty Images

04年に決別したシャック(右)とコビー(左)。だが、のちに突然の和解。09年オールスターではダブルMVPに輝いた。(C)Getty Images

■来るべくして訪れた決別を経て、ついに両者に芽生えた和解の心

 シャックとの確執以外には順風満帆だったコビーの人生が、突然のスキャンダルに見舞われたのは2003年の夏だった。コロラド州で19歳の女性に性的暴行を加えた容疑で逮捕されたのだ。

「あくまで合意の上で関係を持った」とコビーは主張。被害者側の証言にも疑わしい点があったため、最終的に告訴は取り下げられた。しかしこの一件で、彼の社会的なイメージや信用は地に堕ちてしまう。

 この裁判に忙殺されたコビーは、ヒザの手術の影響もあって、2003-04シーズンのトレーニングキャンプに間に合わず。だが、シャックは「ここにいる奴らだけで十分勝てる」と宣言し、遅れて合流したエースに「ヒザが治るまでシュートは控えてパスに専念しろ」と言い放つ。これに対してコビーも「僕がどうプレーするか、彼にアドバイスされる必要はない」と反発し、ふたたび「冷たい戦争」が始まった。

 シーズンに入ってからも対立は収まらず。ついにはコビーがインタビューで公然とシャックを罵倒する事態に至った。
 
「レイカーズは俺様のチームだ。俺の言うことが気に入らないなら出ていけ」と公言していたシャックを「キャンプに太りきった身体でやってくるような奴がリーダー? 勝った時だけ自分のおかげ、負ければ他人のせいにするような奴が?」と嘲笑したのだ。

「裁判の時は、多くの人たちが僕に声をかけてくれた。チームメイトはもちろん、(サクラメント)キングスのマイク・ビビーやクリス・ウェバー……、タイガー・ウッズも電話で激励してくれた。でも、シャックからは何もなかったね。彼の叔父さんでさえ連絡をくれたのに、“ビッグ・ブラザー”とやらからは、一言の言葉もなかった」

 コビーはそう憤り、「僕がチームを出て行くとしたら、それは子どもじみて、自分勝手で、嫉妬深いシャックが理由だ」と吼えた。

 ここまでに幾度とこじれた両者の関係修復はもはやあり得なかった。2年ぶりにファイナルに進出したレイカーズも、圧倒的有利を予想されていたピストンズを相手に、わずか1勝しかできずに敗退してしまった。

 そしてこれが、レイカーズにおけるシャックとコビーの最後の共演となった。球団首脳は、シャックよりも若いコビーをチームの柱として選び、シャックはラマー・オドムらとの交換でマイアミ・ヒートへトレード。8年の長きにわたり、醜い争いを繰り広げた2人のスーパースターは、ついに袂を分かつことになった。
 
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