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【NBAドラフト候補】フランスの大器ウスマン・ジェン。欧州発、NBL経由で目指す世界最高峰の舞台<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.06.17

6月23日に開催されるNBAドラフトで、1巡目指名が予想されるフランスのウスマン・ジェン。(C)Getty Images

 来週23日にニューヨーク州ブルックリンのバークレイズ・センターで開催される2022年のNBAドラフトには、NCAA在籍中の選手を除く、14人のインターナショナル選手(アメリカ国籍外の選手)がアーリーエントリーしている。

 そのなかで、最高位での指名が期待されているのが、フランス出身の19歳、ウスマン・ジェンだ。

 208cm・98kgとアウトサイドプレーヤーとしては破格のサイズを誇るジェンだが、「子どもの頃からずっとポイントガード一筋だった」と、本人はこのポジションにこだわりを見せている。

 5月に19歳になったばかりのジェンは、2003年にフランスのボルドーで生まれた。セネガル人の父はフランスの4部リーグ、ナシオナル2でプレーした元選手。父の影響で、4歳からバスケットボールを始めたという。
 
 彼を最初に指導した地元クラブの少年チームのコーチは、ほかの子どもたちよりもずば抜けて大きかったことに加えて、「入団当初から人並み以上の身体能力を持っていた」と振り返る。控えめだが、人の指示を注意深く聞く少年で、同年代のチームではあまりに抜きん出ていたため、すぐに上の学年のチームに格上げになったという。

 フランスでは、国中のいたるところに、各競技の代表選手を発掘するスカウトの目が行き届くシステムが確立されている。ジェン少年の存在もすぐにバスケットボール連盟のレーダーに検知され、トニー・パーカーらを輩出した国立養成所INSEPのトライアルに招かれると、首尾よくテストをパスしてエリートチームの一員になった。

 INSEPに入団する頃には身長は2mを超え、ウイングスパンはそれよりも長くなっていた。16歳から18歳を中心に形成されるINSEPのチームは、成人男子に混ざって3部リーグに参戦する。そこで2年プレーした後、彼のもとには、パリ・バスケット、ナンテールといったフランスのプロクラブを筆頭に、欧州の有名クラブ、アメリカのGリーグからも誘いが舞い込んだが、彼が選んだ進路は、オーストリアとニュージーランドのクラブで構成されるNBL(ナショナル・バスケットボール・リーグ)だった。
 
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