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大きな話題となったエンビードのフランス国籍取得。仏代表選手やHC、そしてカメルーン側の反応は<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.07.18

はたしてフランス代表チームで、エンビード(右)とゴベア(左)の共闘は実現するのか。(C)Getty Images

 ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)のフランス国籍取得は、当然ながら同国のスポーツ界では大きな話題になっている。

 真っ先にフランスのスポーツ紙『レキップ』の取材に応じたのは、フランス側でなくエンビードの出生地カメルーン側。カメルーン代表のサシャ・ギファHC(ヘッドコーチ)は次のようなコメントを発した。

「彼は個人的な理由があってフランス国籍を選んだのだと思うが、(カメルーン代表への)ドアは開いている。彼がその気になったときに来てくれたらいい。それまで我々は待ちながら、精進し続ける」

 またカメルーン・バスケットボール連盟のサミュエル・エンドゥク会長も「彼はフランス国籍を取得したが、当面は(フランス代表で)一緒にプレーしたいとは言っていない。彼はまだカメルーン人だ」と、エンビードのカメルーン代表入りに希望を持っている様子だ。
 
 ギファHCは「すべての才能ある選手が同じことをしたら、アフリカ大陸にとって悲しいことだ」ともコメント。実際、NBAで活躍している選手のなかで、アフリカ出身ながらアメリカ国籍を取得してチームUSAを選ぶ選手は少なくない。アトランタ五輪で金メダルに輝いたチームUSAのメンバー、アキーム・オラジュワン(元ヒューストン・ロケッツほか)もジュニア時代はナイジェリア代表でプレーしていた。

 そういった背景もあるため、現カメルーン代表でトロント・ラプターズのパスカル・シアカムがプレーしていることを、彼らは非常に誇りにしている。

 一方、フランス代表の連盟やコーチ陣は、エンビードの国籍取得については現在まで一切コメントしていない。

 ちなみに、フランス代表のヴァンサン・コレHCとギファHCは、奇しくもパリ郊外のプロクラブ、メトロポリタン92のHCとアシスタントコーチという間柄。そしてメトロポリタン92の会長は、フランス代表のチームマネージャー、ボリス・ディーオウ(元サンアントニオ・スパーズほか)。きっと内々では、エンビードの件について意見を交わしているだろうが……。
 
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エンビードのフランス国籍取得に、ゴベアの反応は……