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NBA

「俺にとっては悪夢だ」ファイナル敗退を今も引きずる。名手スマートは「『君はよくやった』なんて言われるのが嫌」<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2022.10.06

スマートは昨季のファイナル敗退を、まだ消化できずにいるという。(C)Getty Images

スマートは昨季のファイナル敗退を、まだ消化できずにいるという。(C)Getty Images

 現地時間10月5日、ボストン・セルティックスのマーカス・スマートのインタビューが、地元メディア『NBC Sports Boston』へ公開された。

 昨季イースタン・カンファレンスを制してNBAファイナルへ進出したセルティックスは、ゴールデンステイト・ウォリアーズ相手に第3戦を終えて2勝1敗と勝ち越すも、翌第4戦から3連敗を喫して優勝を逃した。

 あれから約4か月。スマートはジェイソン・テイタムやジェイレン・ブラウン、アル・ホーフォードらとともに新たなシーズンへ臨むが、タイトルに届かなかった事実を今も消化できずにいるという。

 スマートは「そのことを考えるのを止める時が来るのか?」という質問に「それはない」と切り返し、自身の思いをこう語っていた。

「忘れ去ることはないね。(負けたことを)理解はした。受け入れた。どうしようもないんだとね。でもああいう瞬間というのはずっと忘れられないことなんだ。今日になってもまだ考えているくらいだからね。俺にとっては悪夢なのさ」

 昨季スマートはポイントガードとして1996年のゲイリー・ペイトン(元シアトル・スーパーソニックスほか)以来初となる最優秀守備選手賞に選ばれ、オールディフェンシブ1stチーム入り、さらにはハッスルアウォードも受賞。

 これまでのキャリア8シーズンでいずれもプレーオフ進出を果たしているセルティックスの“ハート&ソウル”は、初のファイナルへ進出したのだから、昨季は自己最高のシーズンを送ったと言えるだろう。

 しかし最後の最後で敗退。スマートは精神的な勝者などいないと話す。
 
「『よくやった。(最後は)勝てなかったけど君はよくやったじゃないか』なんて言われるのが嫌なんだ。俺からすれば、『なぁ、お願いだから“お前たちはよくやった”なんて言わないでくれ』って感じさ。『お前たちは負けた。相手が君たちを負かしたんだ』とでも言ってくれよ。けど『君はよくやったよ。素晴らしいシーズンを送ったな』と言ってくるんだ。俺のことをひいきにしないでくれ」

 今季のセルティックスは、昨季以上の豪華戦力を有している。ロバート・ウィリアムズ三世、ダニーロ・ガリナーリがケガのため出遅れるが、元オールスタービッグマンのブレイク・グリフィンを補強。イーメイ・ユドカHC(ヘッドコーチ)がチームのポリシー違反してしまったため、今季活動停止となり、アシスタントコーチのジョー・マズーラが暫定HCを務めることとなる。

 チームはここまでプレシーズンゲーム2戦を終えて1勝1敗。残り2試合をこなしてから、18日にフィラデルフィア・セブンティシクサーズとのレギュラーシーズン開幕戦が組まれている。

「最高なのは、俺には新たな機会を手にして戻り、また狙えるってこと。俺たちには試練の連続だったシーズンを乗り切ったメンバーが今もいる。そこに素晴らしい補強をして新戦力を加えたんだ。それが俺のことを立ち上がらせてくれる。だから今の俺は『準備はできている』と言える」

 新たなシーズンに向けてそう意気込んだスマート。今季も先発ポイントガードとして活躍が期待される男の控えには、マルコム・ブログドン、ペイトン・プリチャードがおり、デリック・ホワイトもスライドできることから、バックコートは昨季よりも厚みを増した。

 そうしたなかで、セルティックスの闘将が今季のチームをどのようにしてまとめ上げていくのか。開幕までの約2週間、そしてその後も注目していきたい。

文●秋山裕之(フリーライター)
 
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