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紆余曲折の末にウォリアーズ復帰を果たしたペイトン二世。球団、メディア、代理人すべてが食い違った情報の真相は?<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2023.02.13

トレード不成立も危ぶまれたが、無事に古巣帰還が決まったペイトン二世。故障からの早期復帰を期待したいところだ。(C)Getty Images

 現地時間2月9日に迎えたNBAのトレード・デッドライン当日、昨季の覇者ゴールデンステイト・ウォリアーズは4チーム間のトレードを敢行。2020年のドラフト全体2位で指名したジェームズ・ワイズマンを放出し、ゲイリー・ペイトン二世を獲得した。

 チーム唯一となる7フッター(213cm以上)のビッグマンに見切りをつけ、昨季の優勝に大きく貢献したペイトン二世を呼び戻すことに成功したウォリアーズ。球団史上2度目の連覇へ向けて、再出発を図ろうとしていたことは明白だった。

 ところが、翌10日の身体検査で問題が発覚。ペイトン二世はコアマッスルに問題を抱えており、2、3か月の欠場になる可能性があるとし、4チーム間のトレードが破談になる危機に瀕していると、米メディア『The Athletic』が報道した。

 ウォリアーズで2シーズンをプレーしたペイトン二世は、昨夏にFA(フリーエージェント)となりポートランド・トレイルブレイザーズと3年2800万ドル(当時のレートで約39億7600万円)でサイン。念願の大型契約を手にした。

 しかし、昨年7月にコアマッスルの手術を断行。当初ブレイザーズは開幕には間に合う見込みと発表していたが、回復に時間を要したために開幕から35試合を欠場した。
 
 1月2日のデトロイト・ピストンズ戦でようやく今季初出場。ここまで15試合(先発1試合)で平均17.0分、4.1点、2.6リバウンド、1.5アシスト、1.1スティールにフィールドゴール成功率58.5%と、まずまずの成績をマークしていた。

 そして『The Athletic』は、ブレイザーズはペイトン二世が痛みを抱えながらプレーしてきたと報道。さらに、ブレイザーズのトレーニングスタッフはペイトン二世へ痛み止めの注射(トラドール/非ステロイド系の消炎鎮痛薬)を施し強引に出場させていた上、トレード交渉の際にウォリアーズへこのことを伝えていなかったという。

 ブレイザーズのジョー・クローニンGM(ゼネラルマネージャー)は、10日に「選手の安全は私たちにとって非常に重要であり、リーグでもものすごく重要なこと。彼はプレーしていた。(コアマッスルの問題を)クリアしていたんだ。我々は彼がプレーしていた時は健康体だったと自信を持っている」と話しており、ペイトン二世とブレイザーズ側の考えには食い違いがある。

 ウォリアーズは12日までに、デッドラインに成立した4チーム間トレードを破談にする選択肢もあったのだが、ケガを抱えている可能性があることを承知の上で、ペイトン二世の獲得を承認。4チーム間トレードは正式に成立となり、ワイズマンはピストンズ、サディーク・ベイはアトランタ・ホークスでそれぞれプレーする。
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ウォリアーズの医療スタッフを信頼しているというペイトン二世