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「彼らはすべてを出し尽くした。自分もそうでありたい」トンプソンが大きな影響を受けた2人のアイドルとは?<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2023.02.28

幼少期のトンプソンは、自身と同じポジションのコビー(左)とミラー(右)から大きな影響を受けたという。(C)Getty Images

 昨季王者のゴールデンステイト・ウォリアーズは球宴明け初戦はロサンゼルス・レイカーズには敗れたものの、その後2試合(ヒューストン・ロケッツ、ミネソタ・ティンバーウルブズ)でクレイ・トンプソンがそれぞれ42得点、32得点と爆発し、2連勝をマークした。

 ウルブズ戦後、『NBA TV』でホスト役を務めるスティーブ・スミス(元アトランタ・ホークスほか)とのインタビューに応じたトンプソンは「僕はあなた方のプレーを見てきた。1990年代に生まれ育ち、90、2000年代のゲームを見てきた。そこにはたくさんの競争相手がいたんだ。史上最高の選手というのは、最高の競争相手だったんだ」と話していた。

 トンプソンの父マイカルは1978年のドラフトでポートランド・トレイルブレイザーズから1位指名を受け、NBAで13年間プレー。レイカーズに在籍していた87、88年には名手カリーム・アブドゥル・ジャバーの控えを務め、チームの優勝に貢献した。

 父の影響で幼少期からNBAは身近な存在であったトンプソンは、自身の選手像を語るうえで不可欠な存在に2人のレジェンドを挙げた。
 
「シューティングガードになるにつれて、僕はコビー・ブライアント(元レイカーズ)をアイドルとして見てきた。彼は決してフロアで友人を作ろうとはせず、どんな犠牲を払ってでも勝利を欲していた。

 それに、僕のスタイルはレジー・ミラー(元インディアナ・ペイサーズ)に似ている。自分のことを現代版レジーと見ているよ。レジーはいくつも問題を起こし、たくさんの人たちをイライラさせてきた。2ガードではあの2人のことが本当に大好きなんだ。それに彼らはすべてを出し尽くした。僕がキャリアを終える時、自分もそうでありたいんだ。僕は自分が持つすべてを捧げ、できる限り最高のレベルで競い合ったんだとね」

 コビーはコート上の誰よりもストイックにバスケットボールへ打ち込み、ベストプレーヤーとなるべく膨大な時間を練習に費やしてきた。ミラーは持ち味のシュート力を最大限に生かすべく、オフボールムーブの練習やクイックリリースを極め、超一流のシューティングガードとしての地位を確立してきた。

 トンプソンは攻守両面でベストを尽くし、マンバ・メンタリティを継承しつつ、ミラーのようにシュート力を遺憾なく発揮してオールスター選手へと成長してきた。

 若かりし頃のコビーのように豪快なダンクを決めたり、ミラーのようにトラッシュトークで相手を挑発することほとんどないものの、精密機械のように正確無比なシュート力は歴代シューターたちの中でも群を抜いている。

 2月6日のオクラホマシティ・サンダー戦で12本、42得点をあげたロケッツ戦でも12本の3ポイントを沈めるなど絶好調のトンプソン。33歳のスナイパーはこれからも相手チームにとって危険な存在であり続けるだろう。
 
文●秋山裕之(フリーライター)
 
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