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ウェンバンヤマだけじゃない!フランスのもう1人の逸材、ビラル・クリバリがドラフト1巡目指名候補に急浮上<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2023.06.04

クリバリは現地6月22日に行なわれるドラフトの1巡目指名候補に浮上。抜群の将来性に、多くのNBAチームが熱視線を注いでいる。(C)Getty Images

 今年のNBAドラフトで最大の注目といえば、全体1位指名が確実視されるフランスの至宝、ヴィクター・ウェンバンヤマで間違いない。しかし現在、注目度が急上昇しているのが、彼が所属するメトロポリタンズ92(通称メッツ92)の同僚、ビラル・クリバリだ。

 クリバリの名前を一気に広めたのは、昨年8月。レブロン・ジェームズの息子ブロニー擁するカリフォルニア・バスケットボール・クラブ(CBC)がフランスに遠征した際に、現地のU18選抜チームとして対戦した試合だった。

 97-85でフランス選抜が勝利したその試合で、クリバリはブロニーと並ぶゲームハイの25得点をマーク。全米に中継されていたこの試合をきっかけに、それまでほぼ無名だったこの逸材の名前は、バスケ界に知れ渡ることとなった。

 2004年7月生まれのクリバリは、ドラフト時にはまだ18歳と、エントリーする中でも最年少の部類に入る。

 パリ郊外の出身で、地元のアマチュアクラブでバスケをはじめた後、ティーンエイジャーになってからメッツ92の本拠地であるルバロワ市にあるアマチュアクラブに移籍。昨年から、メッツ92のユースチームとともにアンダーカテゴリーのリーグ戦に参戦している。
 
 今シーズンに入ってメッツ92のヴィンセント・コレHC(ヘッドコーチ)は彼をトップチームに昇格させると、最初の2、3か月は修行期間としてプロレベルに順応させることに注力。クリスマス頃から徐々に試合での出場機会を増やしていった。

 ゆえにシーズン序盤は、ユースリーグの試合も掛け持ちし、土曜はユース、日曜はプロ、と2日連続でコートに立つ週も少なくなかったが、そのハードなスケジュールの中でもユースリーグでは頻繁に30点台をマーク。このカテゴリーではすでに頭抜けた存在となっていたクリバリについて、相手チームのコーチが試合後、自軍の選手たちに「あのようなレベルの相手と対戦できたことの幸運を忘れるな」と言い聞かせるほどだった。

 クリバリの成長ぶりについてコレHCは、「シーズン序盤に皆が話題にしていたのはウェンバンヤマだったから、彼(クリバリ)については、資質はもちろん知ってはいたが、サプライズと言えなくもない。 それほど彼の成長の速さには目を見張るものがある」と語る。

 プロチームにケガ人が続出したことで、実戦でのチャンスが増えたことも「ビラルの成長を加速度的に促進した」と指揮官は指摘している。
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