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「自分の成長と健康」のため、ワールドカップ出場を見送ったウェンバンヤマ「またすぐに戻ってくる」<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2023.06.28

ウェンバンヤマは自身の未来を考え、今年のワールドカップ出場を見送ることになった。(C)Getty Images

 現地時間6月22日に行なわれたNBAドラフトで、サンアントニオ・スパーズから全体1位指名を受けたヴィクター・ウェンバンヤマが、この夏開催されるFIBAワールドカップ(以下W杯)に、フランス代表のメンバーとして出場しないことを正式に表明した。

 現在、スパーズの本拠地から30分ほどのところにあるアパート型ホテルに滞在中のウェンバンヤマが、日曜夜にフランスメディア『レキップ』に明かした。

「この夏は、これから迎えるシーズンのための身体作りに充てることに決めた。だからW杯出場は回避する。難しい決断で、たくさんの人たちに意見を求めた。でも、これがフランス代表と僕自身にとって最善の決断だと心から信じている」

 ドラフト後のインタビューでも、W杯出場に前向きな意思を示していたウェンバンヤマにとってもこれは苦渋の決断だったようだ。しかし今後のスケジュールは、彼の想像を超えるほど過密で、「これまでにない経験することになる」状況に直面したことで、再考を強いられたのだった。

 今年のW杯だけでなく、今後フランス代表で長くプレーすることを望むウェンバンヤマにとっては、ここで無理をせずにしっかり身体を整えることで、パリ五輪(2024年7月26日~8月11日)をより良い形で迎えられる、というのが大型ルーキーが導き出した答えのようだ。
 
 フランス代表のヴァンサン・コレHC(ヘッドコーチ)をはじめ、チームマネージャーのボリス・ディーオウ、主力メンバーのニコラ・バトゥーム(ロサンゼルス・クリッパーズ)、エバン・フォーニエ(ニューヨーク・ニックス)、ルディ・ゴベア(ミネソタ・ティンバーウルブズ)らにも電話で相談したが、彼らは残念さを露わにしつつも、今後のキャリアを長い目で考え、理解を示してくれたようだ。

 とりわけ、彼の合流を望んでいたコレHCは、この件に公式なコメントは発表していないが、「異なる意見はあったとしても、僕の言いたかったことは理解してもらえたと感じた」とウェンバンヤマは語る。

 一方でスパーズ側からの圧力はなく、彼がどのような決断を下したとしても、サポートする姿勢を示してくれていたという。

 ウェンバンヤマ自身、21年夏のU19世界選手権など(フランスは銀メダル)、これまでも代表での国際大会には出場機会さえあれば欠かさず参加してきたが、本人は今夏が特別な意味を持つと強調する。

「これまで夏の数か月を、自分の身体を鍛えるために充てることはできなかった。でも、僕の人生の新しい章を迎える今、それは必要不可欠なことだ。スパーズのスタッフは、この夏を最大限に活用する準備ができている。無駄な時間を過ごすわけにはいかない」

 ウェンバンヤマ曰く、彼の身体はいわゆる"プロトタイプ"で、同じような体格の選手であっても指標にはできない問題と常に向き合っている。
 
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