３ポイントが主体の現代NBAは、フィジカルプレーが全盛だった1990年代前後や、それ以前のリーグと比べると、同じバスケットボールでもその競技性はまるで別物と言っていいだろう。そのため、「昔のスタープレーヤーは現代のリーグでは通用しない」という主張する者も少なくない。

　そんな意見を真っ向から否定したのが、1960～70年代にゴールデンステイト・ウォリアーズや、ABAでも大活躍したリック・バリー。類い稀なシュート力を誇った名スコアラーは、SNSインフルエンサーのジョイ・ディアンジェラのインタビューで、往年の名選手たちを否定する意見を「冗談じゃない」と一刀両断した。

「あの頃は素晴らしいセンターがたくさんいた。それが今はほとんどいない。今センターをやってる連中はセンターじゃないよ。彼らは３ポイントを打とうとウイングにいるんだ。ショットブロックはしない。リムも守らない。違うゲームなんだけど、人々はそれを理解していないのさ。

『リック、君は現代バスケではプレーできないよ』と言われたことがある。『どんなドラッグをやってるんだ？言ってることがおかしいぞ』って言ってやったよ。」
  　冒頭で述べたように、現代と昔ではバスケットボールがまったく異なると話したバリー。さらに、「私たちを助けるものは何もなかった」として、コート外の環境の差にも言及した。

「栄養士もいなかったし、アジリティコーチもいなかった。チャーター機で移動することもなかったから、夜ぐっすり寝て次の都市に行き、快適に過ごせることもなかった。レンタカーを自分たちで運転していたよ。私たちは日当８ドルだったが、現代の選手は飛行機内でチャーター便の食事が出る。私たちにはジャグジーもサウナもマッサージ師も、そういうものは一切なかった。

　もし現代でプレーしていたら、私はもっともっと速かっただろう。もっと速く、もっと強く、もっと機敏で持久力もあり、高く跳べた。私や、同じ時代にプレーしたオスカー・ロバートソン（元シンシナティ・ロイヤルズ／現サクラメント・キングスほか）やジェリー・ウエスト（元ロサンゼルス・レイカーズ）……私たち全員がもっと偉大になっていただろうね」

　もし昔の選手が現代でプレーしたら、最先端技術の恩恵を受けてより優れたプレーヤーになっていたと主張するバリー。実際に、彼らが現代のトレーニング技術や理論を取り入れたら、現代風のプレーヤーとしてさらにアップデートされていたかもしれない。

　ただ——。抜群のシュート力を武器に得点を量産していたバリーなら、そのままの状態でも現代バスケで通用しそうだ。

構成●ダンクシュート編集部

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