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バスケW杯

【バスケW杯準々決勝レポート②】スロベニアの“ホーム状態”をカナダが一蹴。ドンチッチが「フェアじゃない」と訴える一幕も<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2023.09.08

徹底マークをしかれたドンチッチは試合終盤に不満を訴えて退場処分に。スロベニアを倒したカナダが準決勝進出を果たした。(C)Getty Images

徹底マークをしかれたドンチッチは試合終盤に不満を訴えて退場処分に。スロベニアを倒したカナダが準決勝進出を果たした。(C)Getty Images

「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」は9月5日よりフィリピンのマニラに上位8チームが集結し、決勝トーナメントがスタート。6日の準々決勝2日目の最終戦では、カナダ対スロベニアのビッグマッチが実現した。

 この大一番には、モール・オブ・アジア・アリーナで過去最多の1万1710人の観衆が詰めかけ、熱気にあふれた一戦に。その声援のほとんどは、スロベニアに送られた。

 というのも、彼らのキャプテンにして大エース、ルカ・ドンチッチは、フィリピンで1位、2位を争う人気選手なのだ。フィリピン人記者によれば、華麗なプレースタイルもさることながら、ルックスがファンのハートを掴んでいる、とのことだ。

 ドンチッチがボールを持っただけで「オオーーー!」と声援が上がり、さらにシュートを決めた時には割れんばかりの歓声が場内に鳴り響いた。

 対照的に、ボールを触るたびにブーイングが飛んだのが、カナダのフォワード、ディロン・ブルックス。メンフィス・グリズリーズに所属していた昨季のプレーオフで、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)の鼠蹊部にパンチして退場処分になった一件で、すっかりヒール役になっている。

 フィリピンでのレイカーズ人気は絶大で、ゆえにジェームズは“神”のような存在。そのレブロンに「老害」発言しただけでなく、試合中に手荒な真似をしたブルックスは、フィリピンのバスケファンにとって「パブリックエネミーNo.1」なのであった。
 
 そのブルックスがマッチアップしたのがドンチッチだったから、会場の応援は余計にスロベニアに傾いた。

 そんなファンの声援にも後押しされて試合は拮抗し、前半は50-50 とイーブンで終える。ところが第3クォーターの立ち上がり、ブルックスの3ポイントに、RJ・バレットのスティールからのダンクと、インパクト大のプレーでカナダが流れを呼び込むと、スロベニアは無用なファウルを連発。フリースローからカナダが着実に加点し、あっという間に点差は2桁に広がっていった。

 差が縮まらないまま最終クォーター に突入すると、まだ6分半も残した追い上げどころで頼みのドンチッチが2度目のテクニカルファウルで退場処分に。奇しくもブルックスもその少し前にテクニカルファウルで退場となっていたが、より影響が大きかったのは、それまで26得点をあげていた主砲を失ったスロベニア側だった。

 最終的に89-100で屈したスロベニアのアレクサンダー・セクリッチHCは試合後、「ルカが退場になってしまったから」と大エースの離脱を敗因に挙げた。
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