バスケW杯

【バスケW杯準決勝レポート②】“3年計画”でアメリカを打ち破ったドイツ。指揮官は「我々はお互いのために戦っている」<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2023.09.09

“3年計画”2年目のドイツは、NBA選手のシュルーダー(右)を中心に息の合ったプレーでアメリカを撃破した。(C)Getty Images

 9月8日に行なわれた「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」準決準第2戦は、アメリカとドイツが激突した。

 両者はこれまでワールドカップでは3度顔を合わせ、3回ともアメリカが2桁点差をつけて勝利している。

 しかしドイツは今大会、唯一無敗で勝ち上がってきたチーム。試合は予想通りの接戦となった。

 序盤はドイツが順調に得点を重ねたが、第1クォーター途中に両者同時に3人のメンバーチェンジを敢行すると、アメリカのディフェンスのプレッシャーが高まり、ドイツの得点ペースがダウン。ここから点を取っては取り返すシーソーゲームに。

 第2クォーターは、フィリピンでも人気を集めるオースティン・リーブスが躍動。ドイツが3ポイントを決めたらお返し、中からねじ込まれたら自分もカットインと根性を見せつける。

 60-59とアメリカが1点リードで突入した後半も点の取り合いは続いたが、第3クォーターが2分ほど経過した場面で転機が訪れる。ジョシュ・ハートのターンオーバーに続き、ジェイレン・ブランソンが誰もいないところにパスミス。このボールをフランツ・ヴァグナーが拾って簡単に得点をあげると、流れがドイツに傾き出した。
 
 アメリカはブランソンのパスミスだけでなく、タイリース・ハリバートンがパスを出しあぐねて、「こっちに動け!」と味方へ懸命に指示していた姿は、チームの連携が未完成であることを露呈していた。

 一方のドイツは、昨年のユーロバスケットもともに準決勝まで勝ち上がったメンバーで、熟成度は高く、この違いが徐々に点差にも現れて、ドイツが10点リードで最終クォーターに突入。

 第4クォーター終盤、アメリカも残り1分35秒で1点差まで迫る粘りを見せたが、この日絶好調だったガードのアンドレアス・オブストが4本目の3ポイントを沈め、守備ではイザック・ボンガがミケル・ブリッジズのレイアップをブロック、そしてデニス・シュルーダーがステップバックジャンパーと、クラッチタイムでドイツがビッグプレーを連発。

 残り27秒、4点を追うアメリカはアンソニー・エドワーズが痛恨のパスミス。ドイツは残り0.5秒にスローインを受けたシュルーダーが、相手にファウルさせないようすぐにボールを天高く飛ばして終了のブザー。113-111と1ゴール差で逃げ切った。
 
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「我々には、お互いを思いやれる選手たちがいる」とドイツ指揮官

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