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元ブルズのクーコッチがヨキッチを絶賛!ヨーロッパの偉大な先人たちを超え、「将来的にはベストになる」<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2023.09.15

クロアチア出身でブルズ3連覇戦士のクーコッチが、セルビア出身で昨季ファイナルMVPのヨキッチについて語った。(C)Getty Images

 現地時間9月13日、NBAレジェンドのトニー・クーコッチ(元シカゴ・ブルズほか)が自身の新たなドキュメンタリー番組"The Magical Seven"のプロモーションを行なった。

 208cmのサイズでガードのようにスムースなボールハンドリングとシュート力を備え、その軽やかな身のこなしから"ヨーロッパのマジック・ジョンソン"、"クロアチア・センセーション"の異名をとったクーコッチは、1990年のドラフト2巡目全体29位でブルズから指名。ユーゴスラビアとイタリアのリーグでプレーしたのち、93-94シーズンにNBAデビューを果たした。

 守備にこそ難があったものの、オフェンスは一級品で、自由自在にドライブを繰り出し、鮮やかなアシストもお手の物。シュートレンジも広く、勝負強さも持ち合わせていた。

 3年目の95-96シーズンには平均13.1点、4.0リバウンド、3.5アシストをマークして最優秀シックスマン賞に輝き、同年からのブルズの3連覇に大きく貢献。その後フィラデルフィア・セブンティシクサーズ、アトランタ・ホークス、ミルウォーキー・バックスで計13シーズンをプレーし、2021年にはバスケットボール殿堂入りを果たした。
 
 現在、NBAには100名を超える外国籍選手が所属しており、昨季はギリシャ出身のヤニス・アデトクンボ(バックス)、カメルーン出身のジョエル・エンビード(シクサーズ)、カナダ出身のシェイ・ギルジャス・アレキサンダー(オクラホマシティ・サンダー)、スロベニア出身のルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)と、オールNBA1stチームに4人の海外選手が名を連ねた。

 さらに昨季デンバー・ナゲッツを球団史上初のNBAチャンピオンへ導き、ファイナルMVPに選出されたニコラ・ヨキッチはセルビア出身と、今や海外選手、特にヨーロッパ出身選手抜きにNBAは語れなくなっている。

 90年代以降、一気に国際化が進んだリーグで先駆け的存在となったクーコッチは、現在のNBAを牽引するヨキッチを「素晴らしい」と絶賛する。

「彼は素晴らしい。5、6年前に話したことがあるんだ。身体能力で欠けている部分を見事に補い、バスケットボールの知識とIQを詰め込んだ彼のスタイルが私は好きでね。彼は自分のリズムでゲームをこなしている。彼のキャリアはまだ50%にも達していない。統計的に見て、彼がヨーロッパ出身選手としてベストになるか? たぶんそうなるだろうね」

 211cm・129kgのサイズに抜群のアシスト能力を誇るヨキッチは現在28歳。キャリア8年目を終えた時点でシーズンMVP2回、ファイナルMVP1回、オールスターとオールNBAチームにそれぞれ5回選ばれているほか、レギュラーシーズンの通算トリプルダブル数105回はNBA歴代6位と、驚異的な数字を残している。
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ヨキッチの能力は認めつつも、先人たちの功績には及ばないとクーコッチ