世界中のバスケファンから注目を集めている今年のドラフト№１ピック、ヴィクター・ウェンバンヤマ（サンアントニオ・スパーズ）は、快調にプレシーズンをスタートさせている。

　121－122でスパーズが惜敗した10月10日のオクラホマシティ・サンダー戦では、19分のプレータイムで20得点、５リバウンド。14日のマイアミ・ヒート戦では23分間コートに立ち、23得点、４リバウンドに得意のブロックを３本炸裂させ、120－104の勝利に貢献した。

　とりわけサンダー戦では、昨年のドラフトでサンダーから２位指名を受けたチェット・ホルムグレン（昨季はケガで全休）との『ルーキー対決』も注目された。

　ホルムグレンも16分間で21得点、９リバウンドと期待通りのパフォーマンスを見せたが、第２クォーターにゴール下に切れ込んだウェンバンヤマが、216㎝のホルムグレンのブロックを空中でかわして巧みなレイアップを決めるシーンも。

　ウェンバンヤマは試合後に「チェットには前半苦しめられた。彼との再戦が待ち遠しいよ」とコメント。ホルムグレンとの対決を楽しんだ模様で、ともにチームハイの得点を残した２人のビッグマンは、開幕後も大いに暴れてくれそうだ。

　ヒート戦でも、208㎝のトーマス・ブライアントの上から豪快なワンハンドダンクを決めるなど、ウェンバンヤマはチームハイの23得点をマーク。「これまでプレーしたどのチームよりも、チームメイトは僕のプレースタイルを素早く理解してくれている」と語った彼の言葉からは、順調にチームに順応していることがうかがえる。
  　グレッグ・ポポビッチHC（ヘッドコーチ）も、「試合中、彼を使う必要があったのはひとつのシステムだけで、あとは彼１人でやってくれたよ」と、大型新人のインパクトを評価している。

　そんな期待のウェンバンヤマだが、仏メディア『レキップ』の情報によると、スパーズのフロントは、彼を６、７試合おきに休ませるプランを考えているそうだ。

　欧州リーグ出身の選手がNBA入りした際にもっとも苦労するのが「試合数の多さ」。連戦だけでなく移動もあり、試合後に心身を回復させるペースを掴むまでにはある程度の時間を要する。

　ウェンバンヤマ本人は、「できる限り多くの試合に出たい」とメディアデーでも抱負を語っていたが、昨季フランスリーグでプレーしたのはNBAのレギュラーシーズン82試合の約半分の44試合。

　しかも、ドラフトを控えたシーズンだったこともあり、ケガのリスクを避け、コンディションを十分に管理するため、ユーロリーグの出場権を得ていたアスベルを離脱して、中堅クラブのメトロポリタンズ92に移籍した経緯もあった。