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リーグ最高勝率を残すイーストの“本命”セルティックス。現地記者が語る今季のチームの強みとは?<DUNKSHOOT>

杉浦大介

2024.02.20

昨夏にセルティックスはポルジンギス(左)やホリデーを補強し、ここまでリーグ1位の43勝12敗(勝率78.2%)の好成績を残している。(C)Getty Images

 NBAの2023-24シーズンはオールスターゲームが終わり、いよいよ後半戦を迎える。トレード期限には多くのチームが戦力補強を行なったが、それでもイースタン・カンファレンスの本命はボストン・セルティックスで変わらないだろう。

 開幕から突っ走ってきたセルティックスは2月7日、メンフィス・グリズリーズからゼイビア・ティルマンを獲得してフロントコートの層を厚くすることに成功。優勝17度を誇る名門は、ポール・ピアース、ケビン・ガーネット、レイ・アレンのビッグ3を擁し頂点になった2008年以来となるファイナル制覇の準備を整えたのか。

 セルティックスのここまでを振り返り、未来を占うべく、『Mass Live News』の日系人記者、寺田惣一氏(X : @SouichiTerada)に意見を求めた。セルティックス番記者として3年目を迎えた寺田記者の目にも、自身が継続的に取材するチームの強さは印象的に写っているようだ。(以下、寺田記者の1人語り)
 
 今季のセルティックスはよりバランスのいいチームになった印象があります。昨季のチームは前半戦に圧倒的な勝率を記録しましたが、その当時は3ポイント成功率が約44%とシーズンを通じての維持は現実的に難しいと思える数字で決まっていたことが大きな要因だったんです。

 それに比べ、今季は3ポイントの数字は特筆すべきものではありません。その一方で、ジェイソン・テイタム、ジェイレン・ブラウンという2本の軸に加え、ポストプレーで点が取れるクリスタプス・ポルジンギスが加わったことが大きく響いてきました。

 振り返ってみれば、マイアミ・ヒートと対戦した去年のカンファレンス・ファイナルでも、相手守備陣のスイッチに対応しきれず、セルティックスのオフェンスがスローダウンしたことが敗因になりました。2年前のシリーズでは勝ったものの、同じ理由でヒートに大苦戦しました。それが今季はポルジンギスの加入でオフェンス全体が向上し、その強さはより維持可能なものになったと感じています。

 テイタム、ブラウンもともにオールスターに選ばれたことが示す通り、優れたプレーを続けています。テイタムは2、3月になるとプレーの質が向上する傾向があり、今年もプレーオフの前にペースを上げてくるかもしれません。

 デリック・ホワイトも昨年11、12月はオールスター候補の声が出るほどの好調ぶりでした。1月は平均得点は下がりましたが、ディフェンスの貢献度は変わっていません。ガードなのにブロック力もあり、ホワイトは本当に優れたロールプレーヤーだと思います。

 攻撃は強力でも、2シーズン前に最優秀守備選手を受賞したマーカス・スマートが抜けたため、当初はディフェンスの弱体化を懸念する声が挙がっていました。スマートはディフェンスのコミュニケーションを円滑にする"守備のクォーターバック"のような存在。ロッカールーム&ディフェンスのリーダーが不在となったことを不安に感じたファン、関係者は多かったのです。
 
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