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NBA

フォーニエが“自分でチームを選べない”NBAのトレード事情に言及「ライフスタイルを変えないといけないのは、かなり堪えるよ」<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2025.02.12

現在オリンピアコスに在籍しているフォーニエは、NBA12年間で4度のトレードを経験した。(C)Getty Images

現在オリンピアコスに在籍しているフォーニエは、NBA12年間で4度のトレードを経験した。(C)Getty Images

 今季のNBAはトレード期限前にはダラス・マーベリックスのエース、ルカ・ドンチッチがロサンゼルス・レイカーズへ電撃移籍したのを筆頭に、リーグを揺るがすトレードが相次いだが、本人の意思とは関係なく選手が動くNBAのシステムについては、欧州のバスケ界でも大きな話題となっている。

 昨季までNBAで12年間プレーしたエバン・フォーニエは、2012年にデンバー・ナゲッツでデビュー後、14年6月(オーランド・マジックへ)、21年3月(ボストン・セルティックスへ)、21年8月(ニューヨーク・ニックスへ)、24年2月(デトロイト・ピストンズへ)と、4度のトレードを経験。

 今季からギリシャの強豪オリンピアコスでプレーしている32歳は、ドンチッチの電撃トレードについて、「正直言って、とても驚いた。まだ現実味がない。でも、リーグにとってはいいことだと思う」と語り、自身はその喧騒から解放されたことで、「少し心の重荷が取れた気がしている」とコメントしている。

 ユーロリーグ25節で、パリ・バスケットボールと対戦した際、地元フランスのサポーターから大歓声で迎えられたフランス代表ガードは、試合後、NBAのトレード事情に自身の体験を交えて語った。
 
「デニス・シュルーダーは ”現代の奴隷制度”という強い言葉を使っていた。それをそのまま引用するわけではないけど、僕らくらいの年齢になると、常に”ダモクレスの剣”をぶら下げられ、家族の転居を余儀なくされる。子どもたちの学校といったライフスタイルを変えないといけないのは、かなり堪えるよ」

 シュルーダーは昨年12月にブルックリン・ネッツからゴールデンステイト・ウォリアーズへ、2月6日にユタ・ジャズを経由してピストンズへ移籍と、今季だけで3度も放出の憂き目に。自分でチームを選択できない状況をドイツ出身の司令塔は、 ”現代の奴隷制度”という言葉でなぞらえた。

 シュルーダーは93年生まれ、フォーニエは92年と、2人はほぼ同じ世代にあたる。

 ちなみに”ダモクレスの剣”とは、幸福や栄華の中にも常に危険は迫っているという古代ギリシャの故事だ。「王座の上には、常にはかない糸で剣が吊るされている」と、王が若き家来のダモクレスに示した逸話に由来する。

 世界最高峰リーグでプレーして大金を稼ぐ、誰もがうらやむ存在の選手たちが、自分の頭上に常に剣がぶら下がっているかのような心境で日々を過ごしている切迫感は、なかなかリアリティーがある。

 シュルーダーも、ようやく家族がサンフランシスコの生活に馴染んできた矢先のデトロイトへの再転居だった。
 
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