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NBA

再建期の古巣ネッツでやりがいを感じるラッセル。当時からのプレーの変化と、ベテランとして担う“第2の声”<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2025.03.13

古巣のネッツでベテランとして貢献するラッセルと就任1年目のフェルナンデスHC。(C)Getty Images

古巣のネッツでベテランとして貢献するラッセルと就任1年目のフェルナンデスHC。(C)Getty Images

 昨年12月、ロサンゼルス・レイカーズからドリアン・フィニー・スミス、シェイク・ミルトンとのトレードでブルックリン・ネッツに復帰したディアンジェロ・ラッセル。

 2015年のNBAドラフトでレイカーズから全体2位指名を受けてデビューした彼にとって、2017年の夏に続く2度目のレイカーズからネッツへのトレードという非情な経験を強いられたが、かつて2シーズンを過ごし、オールスター出場も果たした地で、29歳の熟練プレーヤーは成長した姿を見せている。

 初陣となった元日のトロント・ラプターズ戦から、3月11日のクリーブランド・キャバリアーズ戦までの33試合でラッセルがプレーしたのは21試合だが、その間、ネッツが勝利を収めた10試合のうち9試合に出場。勝率の上でも彼の影響力が見てとれる。

 3月10日には古巣レイカーズと早くも2度目の対戦。チームハイの7アシストとゲームメークに奔走して、連敗を7で止める価値ある勝利をもぎとった。

 試合後、バスケ専門サイト『HOOPSHYPE』とのインタビューで、ラッセルは20代前半だった最初のネッツ時代と今とで、自分のプレーへの意識がいかに変化したかを語っている。

「今の僕は、毎晩25得点をあげて周囲を驚かせるようなキャリアの時期にはいない。それよりも、より適切なプレーをすることに重点を置こうとしているんだ。つまり、いかに勝利に貢献できるかが自分にとって最優先事項であるということ。ジョルディ・フェルナンデスHCも、僕にそういうプレーをさせてくれている」

 学生時代からアシスト面を含めたオフェンス力を評価されてきたラッセルだが、今は点取り屋としてではなく、よりゲーム全体に影響を及ぼせる選手を目指してプレーしているという。
 
「今日はジョルディに、自分を信頼してほしい、そして、ショットメーカーとしてだけでなく、バスケットボール選手として認めてほしいと伝えた。たとえシュートが入らなくても、彼は僕がプレーメークで貢献できると信頼してくれている。そして何より、自分自身そのことを尊重している。僕はこれまで、シュートを決めるだけの選手と分類されがちだったけれど、バスケットボール選手であることこそが僕の強みなんだ」

 その上で、入団してからすぐに自分に信頼を置いてくれたフェルナンデスHCについて、「感謝しかない」と語っている。

 キャリア5年未満の若手がロスターの大半を占めるネッツにおいて、10年目のラッセルは一番の年長選手として迎えられた。本人もそのことを自覚しており、フェルナンデスHCの考えを仲間たちに伝える“第2の声”の役目も担っている。

「ジョルディから言われたことをできる限り繰り返して伝えるようにしている。彼は本当に伝えたいと思ったことを口にする人だ。だけど若い選手たちだと、そうした大事なメッセージも右の耳から左の耳へと抜けてしまいがちだ。だから僕が彼のメッセージを再度伝える“第2の声”となり、さらに自ら実践することで、模範を示すようにしているんだ」

 今季が就任1年目のフェルナンデスHCにとっても、ラッセルは頼れる存在であることだろう。

 レイカーズ、ネッツのほか、ゴールデンステイト・ウォリアーズ、ミネソタ・ティンバーウルブズと複数のチームでの経験をもつラッセルだが、前回の在籍時と同様ネッツで好パフォーマンスを発揮できている理由について、「チームがすべての、チーム第一主義の球団であるから」と答えている。

 ルーキー指揮官に若手選手が集まったチームと、そんな環境にやりがいを感じる熟練期のラッセル。絶妙なマッチングとなったこのトレードが、ネッツ躍進のカギとなるだろうか。

文●小川由紀子
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