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NBA

球宴の人気低下の打開策として様々な改革を断行するNBA。新方式を採用する今年は興奮を取り戻せるか?【NBAオールスター全史|2010~19年】

出野哲也

2020.02.15

17年大会ではデイビスが新記録の52得点をマーク。しかしディフェンスレスが進行した近年では記録の価値も薄れてしまう。(C)Getty Images

17年大会ではデイビスが新記録の52得点をマーク。しかしディフェンスレスが進行した近年では記録の価値も薄れてしまう。(C)Getty Images

 オールスターの地位が低下したのは、皮肉なことだがバスケットボールが国際的に人気を集めるようになったのと無関係ではない。その昔は、球宴は人気選手が一堂に会してプレーする唯一の機会だった。ところが1992年のバルセロナ五輪以降、国際大会におけるNBA選手の出場が認められ“ドリームチーム” が結成される。オールスターでは見られなかった、マジック・ジョンソンとジョーダンらトップスターたちがともにプレーする光景が現実となったのだ。

 さらにはドリームチームの圧倒的な強さがきっかけで、世界中でバスケ人気が高まり、各地域でのレベルが向上してアメリカ代表でも簡単には勝てなくなった。五輪やワールドカップのような国家のプライドを懸けて戦う舞台に比べると、“カンファレンスの優劣”を争うオールスターに、選手やファンが以前ほどの魅力を感じなくなっても致し方ない。
 
 NBAに限らず、どのスポーツでもオールスターゲームの人気は低下している。NHLやMLS、国民的人気のNFLでさえもメディアの間で不要論が浮上。最も長い歴史を持つMLBでも、とうの昔にオールスターは真剣勝負ではなくなった。NBAオールスターのテレビ視聴率は、96年に11.7%を記録していたのが、08、10年には3%台までダウン。12年以降の5年間は4%台でMLBやNFLの後塵を拝している。

 このような状況にあって、NBAもオールスターを少しでも魅力のあるイベントにしようと、改革を続けている。まずは、ポジションレス化が進行したことを受け、13年のファン投票からはセンターとフォワードを区別しなくなった。また17年からはファン投票に加え、選手とメディアの投票も加味されるなど、投票の仕方もアレンジが加えられている。

 ダラスで開催された10年は、マブズのホームアリーナではなく、NFLのカウボーイズ・スタジアムを会場として10万8713人の大観衆を集めた。これは89年にヒューストンで行なわれた4万4735人のオールスター記録を2倍以上も上回るもので、NBAに限らずバスケットボール史上最多の入場者だとされている。まだNBAのオールスターには、これだけの人を惹きつける魅力が残っている。今一度、原点に帰ってスター選手同士が真剣勝負を展開するならば、オールスターはかつての興奮を取り戻すはずだ。
 
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