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東京五輪

男女ともにバスケ界の強豪に君臨するスペイン代表。日本でも指揮を執る女子代表ヘッドコーチが明かす強さの秘訣とは?

小川由紀子

2020.02.23

日本のWリーグでもコーチを務めるモンデーロHC(右から2人目)の下、スペインは強豪国の地位を着実に築き上げている。(C)Getty Images

日本のWリーグでもコーチを務めるモンデーロHC(右から2人目)の下、スペインは強豪国の地位を着実に築き上げている。(C)Getty Images

 モンデーロHCは、「戦闘力というものは、ハイレベルの対戦をこなすことで培われる」と語る。「技術的なことは教えらえるし、子どもたちの天性の才能というのももちろんある。協会の教育プログラムも非常に優れている。しかし、勝負強さは、勝負をすることでしか身につかない」。

 子どものころから、ひりつくような対戦を日常的にこなす。それが、スペインが絶えず優秀な選手を生み出している最大の理由であるという。自ずと、最終的にセレクションに残った選手は、誰もが求められるレベルに達している。

「なので、私にとって選手を選ぶのは、木になったりんごをもぎとるようなものなんだ(笑)」

 モンデーロHCはまた、ハイレベルの試合を多くこなすことで審判やコーチ陣も磨かれるということも重要なポイントに挙げた。選手だけでなく、スカウトやコーチ、審判たちも同時に底上げができているというわけだ。「女子の指導部門でいえば、代表チームのヘッドコーチである私はピラミッドの頂点にいるわけだが、周りのコーチたちのレベルも実に高い」
 
 キャプテンのライア・パラウや、予選でチームトップの平均11.7点をあげたアルバ・トーレンスら、東京五輪に挑むスペイン女子代表の主力メンバーは、いわば『モンデーロ・チルドレン』。彼が指揮した2013年のユーロバスケットからともに歩んできたため、指揮官いわく「代表というよりはクラブチームのような」団結力なのだという。

 アンダーカテゴリーから指導している選手も多く、「彼女たちのプレーは完全に把握できている」と豪語する。そのモンデーロHCをして、「彼女がチームにいると、どのコーチも名将になってしまう」と言わしめる司令塔のパラウは、指揮官について「選手は、知識や情報が豊富な指導者と一緒にやりたいと願うものだが、モンテーロHCはものすごくいろいろなものを持っていて、それを惜しみなく私たちとシェアしてくれる。彼のおかげで選手としてものすごく成長できた。彼はクリエイティビティにあふれているから、それを十分に受け取れるよう選手の側も必死に準備しようとすることで磨かれていく」と話す。

 指揮官には、いろいろなタイプがいる。試合後のコメントにしても、抽象的な話をする人も多い。しかしモンデーロHCは、その試合の肝は何だったか、収穫、課題は何かなどを、端的に言葉で表現するのが実に上手い。会見での話しぶりと、選手への対応の仕方は必ずしも同じではないが、モンデーロHCに関して言えば、彼の意図や、求めているものは何か、といったことを、選手たちが明確に理解できるのはまず間違いない。

 銀メダルを手にしたリオ五輪に続き、東京五輪はモンデーロHCにとって2度目のオリンピック挑戦だ。

「出られて嬉しいよ。いつもオリンピックの時は、家のテレビの前でソファに座ってコーラとポテトチップス、手にはリモコン、というのが私のお決まりのスタイルだからね」と、ジェスチャーまじりに話して会見場を沸かせる茶目っ気も魅力。

 日本のファンにもお馴染みの名指揮官が、この夏、最強のスペイン代表をひっさげて東京五輪に参戦する。お手並み拝見だ。

文●小川由紀子
 
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