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NBA

「これは後戻りじゃない」海を渡り、国籍を変えた“NBA No.1級ルーキー”が欧州で取り戻した”バスケへの純粋な愛”

小川由紀子

2020.02.21

「純粋にバスケがしたい」。その思いから海を渡ったランドルフは、欧州の舞台で見事な活躍を見せている。(C)Getty Images

「純粋にバスケがしたい」。その思いから海を渡ったランドルフは、欧州の舞台で見事な活躍を見せている。(C)Getty Images

 欧州各国のトップクラブが参戦し、約半年にわたって頂点の座を競い合うユーロリーグ。ここでは欧州のトッププレーヤーはもちろん、のちのNBA入りを目指す若武者や、活躍の場を求めて海を渡ったかつてのスターたちがひしめき合っている。現在ユーロリーグでその名を轟かせる元NBAプレーヤーをシリーズで紹介しよう。

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 高校時代から注目を集め、カレッジ1年目を終えてドラフトにアーリーエントリー。しかし“No.1クラスのルーキー”と期待されるも芽が出ず、「初心に返ろう」との思いでヨーロッパへ。そこで「純粋にバスケットボールがプレーしたい」という原点に舞い戻り、欧州チャンピオンに上り詰めたのが、アンソニー・ランドルフだ。

 シャキール・オニール(元ロサンゼルス・レイカーズほか)らを輩出したルイジアナ州大で、ランドルフは1年時からシーズン9度のダブルダブルをマーク。オールフレッシュマン1stチームに選出される大活躍を披露し、自信を胸にアーリーエントリーを宣言する。迎えた2008年のドラフトでゴールデンステイト・ウォリアーズから14位指名を受け、19歳でNBAプレーヤーとなった。
 
 しかし、ルーキーイヤーは平均17.9分の出場で7.9点、5.8リバウンドと凡庸な成績にとどまる。当時の指揮官だったドン・ネルソンは、ランドルフのトレーニングへの取り組み方に満足しておらず、「彼は成長する必要がある」と公に苦言を呈していた。

 208cmの身長に対し、体重は93kgと線の細かったランドルフは、フォワードとしてはサイズが足りず、ガードで使うには技術不足という“中途半端感”も問題だった。気合を入れ直してシーズンオフ、サマーリーグでみっちり鍛えると、体重も10kg近く増加し、10-11シーズンまでの契約延長にこぎつけた。

 ところが10年夏にニューヨーク・ニックスにトレードされたのを皮切りに、同シーズン中にミネソタ・ティンバーウルブズへ放出、FAとなった12年オフにはデンバー・ナゲッツと契約するなどジャーニーマン化。そして14年6月にシカゴ・ブルズへ放出され、その1か月後に今度はオーランド・マジックにトレードされると、その翌日に解雇を通告される。非情宣告を受けた7月15日、その日はなんと彼の25歳の誕生日。当時の気持ちをランドルフはのちに「高いところから突き落とされた」と表現しているが、結果としてこれがNBAに別れを告げる日となった。
 
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