専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
NBA

“ザ・ショット”の舞台裏――ジョーダンとロッドマン、2人の信頼関係が生んだNBA屈指の名場面

北舘洋一郎

2020.02.24

奇行も目立ったロッドマンだが、バスケットボールには真摯に取り組んでいた。(C)Getty Images

奇行も目立ったロッドマンだが、バスケットボールには真摯に取り組んでいた。(C)Getty Images

 72勝10敗を記録した95-96シーズンのブルズは、最強のディフェンシブチームだった。ジョーダン、ピッペン、ハーパーがアウトサイドをタイトに守り、インサイドにはリバウンド王のデニス・ロッドマンが君臨。彼の獲得にはGM、コーチ陣、選手たちが様々なトラブルを心配したが、最後はジャクソンHCが「ロッドマン受け入れはチームの問題。フロントだけで決めることではない」と話し、ジョーダンとピッペンを呼んで相談。ジョーダンは快く了承し、ピッペンも頷いたという。

 センターには高さと幅のあるルーク・ロングリーがいたが、絶対的なビッグマンが不在だったブルズにとって、ロッドマンの加入は大きな意味を成した。彼は平均15リバウンド以上が計算でき、コート上を縦横無尽に走ることができる。チームのフォーメーションなどもすぐに覚えてしまうし、さらに印象的だったのは、試合前はいつもロッカールームで相手チームのビデオをずっと見ていたことだった。
 
「どの選手がどういうシュートを打って、その軌道はどのような弧を描き、外れたらどこにボールが落ちるのかを頭に入れている。そうすることで、誰よりも早くボールの落下点に動きリバウンドが取れるんだ」

 こう話すロッドマンは、デトロイト・ピストンズ時代にも“まったくジャンプもしないのに、どうしてビル・レインビアはあんなにリバウンドが取れるのか”を研究したという。

 時として突飛な行動を起こし、重要な場面で退場してしまうことも多々あったロッドマンを毛嫌いする選手やコーチも多かったが、ジョーダンは違ったアプローチで彼との関係を築いていった。ジョーダンはロッドマンを呼び出し、2人だけでこう話したという。

「“ここだけは譲れない、そうじゃないと試合に勝てない”。そういう場面ではチームの勝利を優先させてくれ。それ以外なら大目に見るよ」

 ロッドマンはこの時のことを「ジョーダンは上からじゃなく、同じ目線で本当のことを話してくれた。だから俺も約束したんだ」と回想する。
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号