NBAで30年以上にわたって指揮官を務めてきたネルソンは、通算2398試合で1335勝1063敗(勝率55.7%)とNBAのヘッドコーチとして歴代最多勝を記録する名将。
オフェンス重視、いわゆる“ラン&ガン”にプライドを持っていたネルソンが指揮したチームにおいて、ベストなポイントガード(PG)と言えばナッシュだろう。相手ディフェンダーの意表を突くドライブやパス、リング下をドライブで通り抜けて繰り出すアシストで観衆を沸かせたレジェンドは、正確無比なシュート力も兼備していた。
ナッシュは1996年にフェニックス・サンズでデビュー。2年プレーしたのち、98年にダラス・マーベリックスと契約しネルソンの下でプレーした。2004年にサンズへ復帰すると、05、06年と2年連続でシーズンMVPを受賞。18シーズンのうち7シーズンで平均2桁アシストを残し、歴代3位の通算1万335 本でキャリアを終えている。
だがネルソンが話したように、ナッシュのシュート力は歴代PGの中でも最高級の精度を誇っていた。ナッシュは1シーズンを通してフィールドゴール50%、3ポイント40%、フリースロー90%以上を記録する“50-40-90”クラブに歴代最多の4度入っており、勝負どころでは最も危険なシューターとして相手チームから恐れられていた。
だが意外なことに、ナッシュは引退後に「私はスマートだったとは言えない。1試合で20本ショットを放つべきだったかもしれない。今ではポイントガードのプレーがちょっと違うんだ。まずはリングへアタックすることが最初のポイントになっている。欠点として、私はちょっとファシリテーター(ゲームの進行役)としての要素が多くを占め過ぎていたんだろうね」と語っていた。
キャリアを通して、ナッシュは平均20点超えを記録したシーズンは一度もなく、自己ベストは05-06シーズンの18.8点、1試合の平均シュート試投数は13.6本だった。もし本人が振り返ったように、毎試合平均20本のショットを放っていれば、平均25点前後は軽々とクリアしていたに違いない。
一方で、カリーはキャリア4シーズン目から8年連続で平均20点超えをマーク。平均20.2本のショットを放った15-16シーズンには平均30.1点で得点王に輝き、ウォリアーズを歴代最多の73勝9敗へと導く立て役者となり、満場一致でMVPを手にしている。
両選手のキャリアを見ていると、ネルソンがカリーのルーキーシーズンに悟った“シューティングを重視したスティーブ・ナッシュ”という選手像は、あながち間違いではなかったと言っていいだろう。
文●秋山裕之(フリーライター)
【名場面PHOTO】ジョーダン最後のオールスター、コビー81得点、カーターの豪快ダンク……1999-2019 NBA名場面集
オフェンス重視、いわゆる“ラン&ガン”にプライドを持っていたネルソンが指揮したチームにおいて、ベストなポイントガード(PG)と言えばナッシュだろう。相手ディフェンダーの意表を突くドライブやパス、リング下をドライブで通り抜けて繰り出すアシストで観衆を沸かせたレジェンドは、正確無比なシュート力も兼備していた。
ナッシュは1996年にフェニックス・サンズでデビュー。2年プレーしたのち、98年にダラス・マーベリックスと契約しネルソンの下でプレーした。2004年にサンズへ復帰すると、05、06年と2年連続でシーズンMVPを受賞。18シーズンのうち7シーズンで平均2桁アシストを残し、歴代3位の通算1万335 本でキャリアを終えている。
だがネルソンが話したように、ナッシュのシュート力は歴代PGの中でも最高級の精度を誇っていた。ナッシュは1シーズンを通してフィールドゴール50%、3ポイント40%、フリースロー90%以上を記録する“50-40-90”クラブに歴代最多の4度入っており、勝負どころでは最も危険なシューターとして相手チームから恐れられていた。
だが意外なことに、ナッシュは引退後に「私はスマートだったとは言えない。1試合で20本ショットを放つべきだったかもしれない。今ではポイントガードのプレーがちょっと違うんだ。まずはリングへアタックすることが最初のポイントになっている。欠点として、私はちょっとファシリテーター(ゲームの進行役)としての要素が多くを占め過ぎていたんだろうね」と語っていた。
キャリアを通して、ナッシュは平均20点超えを記録したシーズンは一度もなく、自己ベストは05-06シーズンの18.8点、1試合の平均シュート試投数は13.6本だった。もし本人が振り返ったように、毎試合平均20本のショットを放っていれば、平均25点前後は軽々とクリアしていたに違いない。
一方で、カリーはキャリア4シーズン目から8年連続で平均20点超えをマーク。平均20.2本のショットを放った15-16シーズンには平均30.1点で得点王に輝き、ウォリアーズを歴代最多の73勝9敗へと導く立て役者となり、満場一致でMVPを手にしている。
両選手のキャリアを見ていると、ネルソンがカリーのルーキーシーズンに悟った“シューティングを重視したスティーブ・ナッシュ”という選手像は、あながち間違いではなかったと言っていいだろう。
文●秋山裕之(フリーライター)
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