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NBA

バスケ界だけでなく政界にも進出、トルコの英雄ターコル―が歩む特異なセカンドキャリア

小川由紀子

2020.04.20

トルコ代表では絶対的なフロアリーダーだったターコル―は、自国開催の世界選手権(現ワールドカップ)で準優勝を果たした。(C)Getty Images

トルコ代表では絶対的なフロアリーダーだったターコル―は、自国開催の世界選手権(現ワールドカップ)で準優勝を果たした。(C)Getty Images

 208cm・100㎏という恵まれた体格と高いバスケットIQを武器に、センター以外はどこでもこなす器用さが売りだったターコルーは、トルコ代表ではゲームメークを担う絶対的なフロアリーダーであり、タリスマンでもあった。この試合でも16得点、7リバウンドと奮闘。64-81で敗れはしたが、この熱戦の余韻は同国のバスケ人気を一層押し上げ、国内リーグを盛り立てる起爆剤にもなった。

 さらに彼の人柄も人気の秘密だった。タレ目で親しみやすいルックスだけでなく、大スターでありながら声をかければファンに対応する気さくさもあり、各国のメディアからの人気も抜群だった。

 そんな彼だけあって、2015年11月に現役引退を発表すると、すぐさまトルコバスケットボール協会は彼を同協会のCEOに任命した。

 その発表の席でターコルーは、「これは私の人生の新たな章の始まりだ。できる限り最高の形で、世界に向けてトルコを代表できるよう努める。これまでのキャリアで培った経験を生かし、トルコのバスケットボール発展の助けになれると確信している」と意欲的にコメント。翌年の選挙では会長に選出され、現在は名実ともに協会のトップに立っている。
 
 と、ここまでは、引退後のトッププレーヤーによく見られる第2のキャリアだが、ターコルーが特殊なのは、政治の世界にも足を踏み入れたことだ。

 2016年3月、彼はレジェブ・ターイブ・エルドアン大統領の上級顧問に任命された。同国で政界入りした代表クラスのアスリートは、かつて国会議員になったレスリングの代表選手ハムザ・イェルリカヤに次いで、ターコルーが2人目だという。

 エルドアン大統領は、2003年に首相に就任した時から積極的な改革で経済成長を実現。国民の生活レベルも向上して支持を集めたが、次第に独裁化が強まり、2016年7月にクーデター未遂事件が起きたあとは、反対勢力を厳しく取り締まるなど、過激な政策に傾倒しつつあった。

 昨年1月に起こった、エネス・カンター(現ボストン・セルティックス)の一件をご記憶の方も多いことだろう。当時ニューヨーク・ニックスに在籍していたカンターは、チームがNBAヨーロッパの試合でロンドンに遠征する際、「ロンドンに行ったら暗殺される恐れがあるから、チームには帯同できない」と訴えた。
 

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