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NBA

【NBA名脇役列伝・後編】30歳で帰らぬ人に…誰からも愛された男、マリーク・シーリーの色褪せぬ記憶

出野哲也

2020.05.21

コート外では、アーティストであり、デザイナーでもあった。(C)Getty Images

コート外では、アーティストであり、デザイナーでもあった。(C)Getty Images

 憧れの選手からのアドバイスは、若きスーパースターとして扱われ、チームで孤立しかけることもあったガーネットの胸に真っ直ぐ届き、彼は自分自身を取り戻すことができた。ガーネットは今もシーリーへの感謝を忘れない。

「誰にでも人生を変えてくれた人が1人はいるはずだ。俺が今の俺であるのは、マリークがいたからだ」

■デザイナーや俳優業などコート外でも才能を発揮

 シーリーの活躍の場はコートの上だけではなかった。プロ入り後に『マリーク・シーリーXXI』というネクタイと洋服のブランドを立ち上げ、ペイサーズのダンスチームのユニフォームもデザインした。

「母に教えられて子どもの頃から裁縫をしていたから、ウチの家族はみんな手先が器用なんだよ」。選手として今ひとつだった頃には「彼の存在を最も警戒しているのは、NBAの球団ではなくイヴ・サンローランだろう」とからかわれたりもした。
 
 96年には、ウーピー・ゴールドバーグ主演の映画『エディー』に出演。その後『ザ・センティネル』などのテレビドラマにも顔を出し、2000年にはベースライン・スタジオという音楽スタジオを開設した。このスタジオは、ラッパーのJAY-Zやキャムロンが数多くのヒット曲を録音したことで音楽ファンにもよく知られている。

「俺はアーティストで、デザイナーで、アスリートでもある。できないことなんて何もないのさ」とシーリーは誇らしげに語ったが、彼は確かにそれだけの才能に恵まれていた。
 
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