■弟分の誕生会の帰り道で起きた事故で帰らぬ人に…
だが2000年5月20日の早朝、シーリーに突如として悲劇が襲いかかる。ガーネットの24歳の誕生日を祝うパーティーからの帰り道、愛車のレンジローバーでハイウェイを走行中、酔っ払いが運転するピックアップトラックが逆走してきて正面衝突されたのだ。トラックの運転手は一命を取りとめたが、シーリーは即死。30歳という若さで、彼が積み上げてきたキャリアは一瞬にして絶たれた。妻のリサは実父を亡くしたばかりで、相次ぐ悲報に言葉もなかった。
葬儀にはウルブズの選手、NBAの仲間たち、プレーグラウンドで共に汗を流した旧友が参列。故人と最も親しかった人物が務める棺の付添い人は、ガーネットが担当した。シーリーが弟分に最後に残した教えは「最悪の事態にどう対処すべきか」ということだった。事故から長い年月が過ぎてもなお、その日のことを尋ねられるとガーネットは涙を堪えられない。彼の右腕にはシーリーを偲んで「安らかに眠れ、MS2」とタトゥーが彫られている。
元チームメイトのサム・ミッチェルは、生前のシーリーについて次のように語る。
「いつも彼は、嫉妬やビジネスを脇に置いて、みんなが心をひとつに合わせればどんな相手にも必ず勝てると言っていた。彼がロッカールームに入ってくると、その瞬間に空気が変わるほどの存在だった。沈んだ顔をしていたり、自分を哀れんだりなど絶対にしない男だったよ」
高校時代は良きライバルとしてしのぎを削ったケニー・アンダーソン(元ネッツほか)も「マリークについて否定的な話をする人は皆無だ」と断言する。
バスケットボール選手としてのシーリーの記憶は、ファンの間では時の流れとともに薄れつつある。だがガーネットをはじめ、彼をよく知る者たちにとってはそうではない。1人の人間としてのシーリーの記憶は、いつまでも彼らの心の中に残り続け、決して色あせることはないのだ。
文●出野哲也
※『ダンクシュート』2013年10月号掲載原稿に加筆・修正。
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だが2000年5月20日の早朝、シーリーに突如として悲劇が襲いかかる。ガーネットの24歳の誕生日を祝うパーティーからの帰り道、愛車のレンジローバーでハイウェイを走行中、酔っ払いが運転するピックアップトラックが逆走してきて正面衝突されたのだ。トラックの運転手は一命を取りとめたが、シーリーは即死。30歳という若さで、彼が積み上げてきたキャリアは一瞬にして絶たれた。妻のリサは実父を亡くしたばかりで、相次ぐ悲報に言葉もなかった。
葬儀にはウルブズの選手、NBAの仲間たち、プレーグラウンドで共に汗を流した旧友が参列。故人と最も親しかった人物が務める棺の付添い人は、ガーネットが担当した。シーリーが弟分に最後に残した教えは「最悪の事態にどう対処すべきか」ということだった。事故から長い年月が過ぎてもなお、その日のことを尋ねられるとガーネットは涙を堪えられない。彼の右腕にはシーリーを偲んで「安らかに眠れ、MS2」とタトゥーが彫られている。
元チームメイトのサム・ミッチェルは、生前のシーリーについて次のように語る。
「いつも彼は、嫉妬やビジネスを脇に置いて、みんなが心をひとつに合わせればどんな相手にも必ず勝てると言っていた。彼がロッカールームに入ってくると、その瞬間に空気が変わるほどの存在だった。沈んだ顔をしていたり、自分を哀れんだりなど絶対にしない男だったよ」
高校時代は良きライバルとしてしのぎを削ったケニー・アンダーソン(元ネッツほか)も「マリークについて否定的な話をする人は皆無だ」と断言する。
バスケットボール選手としてのシーリーの記憶は、ファンの間では時の流れとともに薄れつつある。だがガーネットをはじめ、彼をよく知る者たちにとってはそうではない。1人の人間としてのシーリーの記憶は、いつまでも彼らの心の中に残り続け、決して色あせることはないのだ。
文●出野哲也
※『ダンクシュート』2013年10月号掲載原稿に加筆・修正。
【PHOTO】NBA最強の選手は誰だ?識者8人が選んだ21世紀の「ベストプレーヤートップ10」を厳選ショットで紹介!