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NBA

「アイバーソンへの神からの贈り物」。エリック・スノウの転機となった3年目の移籍【NBA名脇役列伝・前編】

出野哲也

2020.06.23

3年目の途中に移籍したシクサーズで自身の居場所を確立したスノウ。司令塔としてアイバーソンの長所を生かし、チームをプレーオフの常連へと押し上げた。(C)Getty Images

3年目の途中に移籍したシクサーズで自身の居場所を確立したスノウ。司令塔としてアイバーソンの長所を生かし、チームをプレーオフの常連へと押し上げた。(C)Getty Images

 大学側からは「学校に残って、今度はフットボールにチャレンジしてはどうか」との申し出も受けたが、それを蹴って95年のNBAドラフトにエントリー。2巡目43位でミルウォーキー・バックスから指名され、すぐにシアトル・スーパーソニックス(現オクラホマシティ・サンダー)へトレードされた。

「どのチームでも構わない。NBAに入れるだけで嬉しいよ」と満面の笑みを浮かべたスノウだったが、指名順位が示すように、NBA側の評価はさして高くはなかった。身長191cmとPGとしてはまずまずの体格で、パスセンスや守備力には一目置かれていたものの、大学4年間の平均得点が5.9という攻撃力の低さがネックとなったのだ。

 実際、ソニックスではオールスターPGのゲイリー・ペイトン、ベテランのネイト・マクミランに次ぐ3番手として扱われ、10分前後の出場時間しか与えられなかった。3年目にはマクミランが引退したが、新加入のグレッグ・アンソニーに押しやられてさらに出場時間が減少。その結果、シーズン途中にドラフト2巡目指名権との交換でシクサーズへ放出された。
 
■主砲アイバーソンにとってスノウは神からの贈り物

 当時、シクサーズの先発PGはアレン・アイバーソンが務めていた。だが、誰よりもシュートを打ちたがるアイバーソンが司令塔ではオフェンスが機能せず、ラリー・ブラウンHCは苦悩していた。その得点力を生かすためにアイバーソンをSGに回し、PGにはシュートよりもパスを重視する選手を起用する――。ブラウンのそんな考えに当てはまる選手がスノウだった。こうして彼は、98-99シーズンの開幕から先発PGを任されることとなった。

 すると、この新バックコートは予想以上の成果を挙げる。煩わしいプレーメイキングから解放されたアイバーソンは伸び伸びとプレーし、平均26.8点で得点王に輝いた。

「エリックは俺が必要な時に、ちゃんとボールを渡してくれる。彼がコートにいてくれないと困るんだ」とアイバーソンが賛辞を口にすれば、「僕は自分の仕事が何かよく理解している。アレンの欠点は僕の長所、僕の弱みは彼の強みなのさ」とスノウも返した。

 守備面でも、スノウは身長の低いアイバーソンに代わってSGとマッチアップし、そのフィジカルなディフェンスで相手を悩ませた。

「アイバーソンにとって、スノウは神からの贈り物だ」と表現した者もいたほど、2人の相性は抜群だった。こうしてチームとしての基盤が固まったシクサーズは8年ぶりにプレーオフへ返り咲きを果たす。
(後編へ続く)

文●出野哲也

※『ダンクシュート』2013年7月号掲載原稿に加筆・修正。

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