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NBA

【プレーオフ激闘録】泥臭くも魅力的なニックスが、ニューヨークを熱く燃やした1994年の夏|前編

大井成義

2020.08.20

シックスマンのメイソンは身長201㎝とサイズは不足していたが、屈強な肉体を武器に相手の主砲オラジュワン(右)ともマッチアップした。(C)Getty Images

シックスマンのメイソンは身長201㎝とサイズは不足していたが、屈強な肉体を武器に相手の主砲オラジュワン(右)ともマッチアップした。(C)Getty Images

■泥臭くも魅力的な面々が揃った1993-94シーズンのニックス

 迎えたファイナル。ウエスタン・カンファレンスを勝ち上がってきたのは、アキーム・オラジュワンを擁し、悲願の初優勝を狙うロケッツ。リーグを代表する2人の強力センター、パトリック・ユーイングとオラジュワンのマッチアップに大きな注目が集まった。ジョージタウン大出身のユーイングと、ヒューストン大出身のオラジュワンは大学時代からのライバルであり、1984年のNCAAトーナメント決勝で激突している。個人成績はオラジュワンが上回ったが、優勝を手にしたのはユーイングだった。

 1993-94レギュラーシーズンの直接対決はロケッツが2勝0敗と完勝しており、個人成績もユーイングの平均12.0点、9.5リバウンド、1.00ブロックに対し、オラジュワンは平均33.0点、16.5リバウンド、2.50ブロックと圧倒。主砲の力だけを比較すればロケッツに分があるものの、勝負は時の運である。レンジャースの快進撃に街中が浮かれていたこともあり、ニックスファンには優勝の二文字以外見えていなかった。

 ホームコート・アドバンテージを手にしたのは、レギュラーシーズンの成績で1勝上回ったロケッツ。当時のフォーマット〝2-3-2〞に沿って、最初の2試合はヒューストンでの開催となった。
 
 ニックスのスターティング・ラインナップは、PGにプロ11年目のデレック・ハーパー。この年の1月にマーベリックスから移籍してきたばかりのニューカマーではあったが、物怖じせず飄々と、時には大胆なプレーを披露するベテランを、ニックスファンが受け入れるのにさほど時間は必要としなかった。

 SGはニックスの魂にしてニューヨークの象徴、ジョン・スタークス。ニックスに全身全霊を捧げる男に対し、ニューヨーカーは惜しみない愛情を注ぎ、チーム内でダントツ一番人気を誇っていた。好不調の波こそ激しかったものの、触ると火傷しそうな情熱をむき出しにし、常に200%の力を出し切ってプレーするスタークスは、人々の心を掴んで離さなかった。

 SFにはチャールズ・スミス。前年のプレーオフ、対ブルズ第5戦の試合終了間際に食らった屈辱の4連続ブロックは、ニックスファンの脳裏に深く焼き付いている。この年、ジョーダン不在とはいえ宿敵ブルズを破り、なんとかリベンジを果たしたものの、あの失態を挽回するにはチームに優勝をもたらす以外なかった。

 PFはニックスの〝ハート&ソウル〞チャールズ・オークリー。汚れ仕事を一手に引き受け、身体を張ってゴールを死守するニックス一のタフガイ。ジョーダンの用心棒でもあった彼は、リーグ屈指の豪腕を誇り、来るなら来いとでも言わんばかりに睨みを利かせている。そんな男の中の男に、ニックスファンは全幅の信頼を寄せていた。
 

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