専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
NBA

【NBAデュオ列伝】ロビンソンとダンカンが迎えた最高のエンディング。退屈なスーパースターが示した“優等生の矜持”|後編

出野哲也

2020.09.07

 ダンカンを中心として、スパーズは一致団結する。トニー・パーカーやマヌ・ジノビリといった若手も成長し、貴重な戦力となった。対照的にレイカーズは、シャキール・オニールとコビー・ブライアントのいがみ合いで自滅。カンファレンス準決勝で両者は顔を合わせ、スパーズが4勝2敗でレイカーズの4連覇を阻んだ。

 ニュージャージー(現ブルックリン)・ネッツとの対戦となったファイナルでも、スパーズの勢いは止まらなかった。第6戦ではダンカンが21得点、20リバウンド、10アシスト、8ブロックと、ファイナル史上初のクァドラプルダブルに迫れば、ロビンソンも13得点、17リバウンドと全盛期を思わせる活躍で、4年ぶり2度目の優勝に大きく貢献。フィールドゴール成功数6本、リバウンド17本は、奇しくもNBAでのデビュー戦と同じ数字だった。

「これ以上のエンディングはないよ。頂点に立ったまま現役生活を終えられることを、神に感謝する」

 そう笑顔で語るロビンソンの傍らで、2度目のファイナルMVPに輝いたダンカンは「今度コートに立つ時に彼はいないんだと思うと寂しいね。もう1年プレーするように口説いてみようかな」と最高の友人との別れを惜しんだ。
 
 かつて『スポーツイラストレイテッド』誌は、最も退屈なスーパースターとしてダンカンの名を挙げたが、その同じ雑誌が2003年の「スポーツメン・オブ・ザ・イヤー」に選んだのが、ダンカンとロビンソンの2人だった。

 ロビンソンがいなくなった後も、ダンカンは2005、07、14年と3つのチャンピオンリングを追加。特に2014年はレブロン・ジェームズ(現レイカーズ)、ドゥエイン・ウェイド、クリス・ボッシュの仲良し3人組が結集したスーパーチームのマイアミ・ヒートを下しての栄冠だった。

 この時ファイナルMVPを受賞したのがカワイ・レナード(現ロサンゼルス・クリッパーズ)だったように、ダンカンはスパーズのエースではなくなっていたが、チームの精神的支柱であり続けていた。ちょうど2003年のロビンソンがそうだったように。第6戦終了後、ロビンソンの姿を見つけたダンカンは、普段の彼からは想像もできないような笑顔で、かつての盟友と抱擁を交わした。
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号