マーベリックスから馬場のもとにオファーが届いたのは、サマーリーグ終了後の8月のこと。そして、ワールドカップでの戦いが終わるとともに細部を詰める本格的な交渉が始まり、今回の契約締結に至っている。
ただし、NBAの新シーズン開幕まで約1か月に迫った現時点で、マーベリックスはすでに年俸保証の契約を登録可能人数の15名と締結している。さらに傘下のGリーグチームに所属しながら、一定期間NBAでの活動が可能な2WAY契約も上限の2名と契約済み。馬場がマーベリックスの選手としてNBAのコートに立つためには、ロースターに空きがないのが現状だ。
もちろん今後、トレードや選手の故障などでロースターに空きが生まれることはあり得るが、現実的にはまず傘下のGリーグチーム、テキサス・レジェンズで開幕を迎えることになるだろう。
レジェンズで馬場に求められるのは、アメリカスタイルへの順応だ。昨季まで所属したA東京では欧州の名将ルカ・パヴィチェヴィッチの下、ボールをしっかりシェアしてチームで攻める欧州型バスケットを叩き込まれた。しかし、アメリカでは1対1の個を重視したスタイルが根幹にあり、特にGリーグではそれぞれがステップアップを狙うため、なんとか目に見える結果を残そうと時にチームの勝利以上に自己アピールが優先される。それは、これまで常に勝利を第一としてきた馬場が経験してこなかったものである。 環境面の変化に加え、個人のスキルではアウトサイドシュートの精度向上が急務となる。身体能力を生かしたアタックは申し分ない馬場だが、外角シュートの確率に関してはまだ不安定で発展途上。Bリーグでは、外角シュートへのプレッシャーを捨ててドライブを止めにくる相手に対してもフィジカルの差で強引に突破できた。しかし、フィジカルで優位に立てないアメリカでそういったプレーが通用するかは疑わしい。シュートレンジの幅を広げることが、今後の飛躍には必須と言えるだろう。
これら具体的な要素のほかにも、コート内外で様々な面で壁に直面することが予想されるが、それでも馬場ならば困難を乗り越えられると期待せずにはいられない。それというのも、彼には恵まれた身体能力に加え、「壁が高ければ高いほど、自分を高められる」と言い切れる強靭なメンタルがあるからだ。
“Bリーグから世界へ”というリーグの理念を最初に体現する開拓者になれるのか。馬場雄大のチャレンジが成功するか否かは、日本バスケットボール界の発展においても大きな意味を持ってくる。夢への第一歩を踏み出した若き挑戦者の今後から、ますます目が離せない。
文●鈴木栄一
ただし、NBAの新シーズン開幕まで約1か月に迫った現時点で、マーベリックスはすでに年俸保証の契約を登録可能人数の15名と締結している。さらに傘下のGリーグチームに所属しながら、一定期間NBAでの活動が可能な2WAY契約も上限の2名と契約済み。馬場がマーベリックスの選手としてNBAのコートに立つためには、ロースターに空きがないのが現状だ。
もちろん今後、トレードや選手の故障などでロースターに空きが生まれることはあり得るが、現実的にはまず傘下のGリーグチーム、テキサス・レジェンズで開幕を迎えることになるだろう。
レジェンズで馬場に求められるのは、アメリカスタイルへの順応だ。昨季まで所属したA東京では欧州の名将ルカ・パヴィチェヴィッチの下、ボールをしっかりシェアしてチームで攻める欧州型バスケットを叩き込まれた。しかし、アメリカでは1対1の個を重視したスタイルが根幹にあり、特にGリーグではそれぞれがステップアップを狙うため、なんとか目に見える結果を残そうと時にチームの勝利以上に自己アピールが優先される。それは、これまで常に勝利を第一としてきた馬場が経験してこなかったものである。 環境面の変化に加え、個人のスキルではアウトサイドシュートの精度向上が急務となる。身体能力を生かしたアタックは申し分ない馬場だが、外角シュートの確率に関してはまだ不安定で発展途上。Bリーグでは、外角シュートへのプレッシャーを捨ててドライブを止めにくる相手に対してもフィジカルの差で強引に突破できた。しかし、フィジカルで優位に立てないアメリカでそういったプレーが通用するかは疑わしい。シュートレンジの幅を広げることが、今後の飛躍には必須と言えるだろう。
これら具体的な要素のほかにも、コート内外で様々な面で壁に直面することが予想されるが、それでも馬場ならば困難を乗り越えられると期待せずにはいられない。それというのも、彼には恵まれた身体能力に加え、「壁が高ければ高いほど、自分を高められる」と言い切れる強靭なメンタルがあるからだ。
“Bリーグから世界へ”というリーグの理念を最初に体現する開拓者になれるのか。馬場雄大のチャレンジが成功するか否かは、日本バスケットボール界の発展においても大きな意味を持ってくる。夢への第一歩を踏み出した若き挑戦者の今後から、ますます目が離せない。
文●鈴木栄一