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バスケW杯

神童と呼ばれたリッキー・ルビオがワールドカップMVPで得た大きな自信と経験

小川由紀子

2019.09.22

今年のワールドカップで平均16.4点・6.0アシストをマーク。リーダーとしてスペインを3大会ぶりの優勝に導き、大会MVPに選ばれた。(C)Getty Images

今年のワールドカップで平均16.4点・6.0アシストをマーク。リーダーとしてスペインを3大会ぶりの優勝に導き、大会MVPに選ばれた。(C)Getty Images

 次のステップに一歩を踏み出せそうで出られない、そんな悶々とした状況で、ルビオは今回のワールドカップに挑んだ。

 そこでルビオは司令塔としてスペイン代表を金メダルに導いただけでなく、得点でもマルク・ガソルを上回り、チームトップの数字を残した。決勝戦のMVP 、大会ベスト5、そして大会MVPと各賞を総ナメにしたが、それらの賞や数字以上にこの大会でルビオが見せたのは、リーダーとしての成長だった。

 2008年の北京五輪、18歳でA代表入りして以来、彼はスペイン代表で常にパウ・ガソルや、ファン・カルロス・ナバーロ、ホセ・カルデロンら、黄金世代の先輩たちの弟分というポジションで成長を続けてきた。2006年の世界選手権(現ワールドカップ)優勝など、数々のトロフィーとともにスペイン代表の一時代を築いた黄金世代のリーダーシップはそれほど絶大であり、同時に責任もすべて、彼らの肩の上にあった。

 しかしナバーロは2017年の欧州選手権を最後に代表から退き、パウ・ガソルも不在だった今大会で、スペイン代表のリーダー役はルビオに託された。そしてその責任感が、逆に彼の潜在的な能力を存分に発揮させる機会となったのだ。
 華麗なパスさばきや手の長さを生かしたディフェンスだけでなく、重要な局面でのビッグプレーや、試合の流れを変えるインパクトのあるアクションといったルビオのゲームメークは、2度のオーバータイムにもつれ込んだ準決勝のオーストラリア戦を含め、何度もチームを窮地から救った。また3ポイント成功率(39%)や総得点(131点)でもチームハイという堂々の数字を残せたのは、専属コーチのもと、シューティング練習を重ねてきた成果でもあった。

 スペイン代表のセルヒオ・スカリオロ・ヘッドコーチ(HC)は決勝戦でのルビオについて、「パスをさばいて仲間を動かす司令塔としての役割と、自ら得点してゲームを牽引するという、2つのリーダーシップのバランスが取れていた」と評価した。まだ進化の途中であり、完全に熟すのはこれからだと付け加えたが「熟した頃には、彼は間違いなくHall of Famer(殿堂入り)だ」と、それがどれだけ高いレベルに達するポテンシャルがあるか、彼を少年時代から見続けてきた恩師は強調した。
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