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バスケW杯

神童と呼ばれたリッキー・ルビオがワールドカップMVPで得た大きな自信と経験

小川由紀子

2019.09.22

今夏に2年間プレーしたジャズに別れを告げ、サンズへ移籍。新天地ではスコアラーのデビン・ブッカー(右)とのコンビが期待される(C)Getty Images

今夏に2年間プレーしたジャズに別れを告げ、サンズへ移籍。新天地ではスコアラーのデビン・ブッカー(右)とのコンビが期待される(C)Getty Images

 今季からプレーするフェニックス・サンズのモンティ・ウィリアムズHCが事あるごとに「ルビオは、コーチ陣も含めて周りの質を上げてくれる存在」と語っているように、サンズはルビオの、チームメイトの長所を引き出せる能力を高く買っている。

 サンズの公式ツイッターでは、これまで、ケビン・ラブ(当時ウルブズ/現キャバリアーズ)やカール・アンソニー・タウンズ、アンドリュー・ウィギンス(ともにウルブズ)、ルディ・ゴベア(ジャズ)といった選手たちが、ルビオと一緒にプレーしたなかで、キャリアハイの数字を残していることが紹介され、昨季まで2シーズン所属したジャズでも、ルビオが出場した試合では、選手全員の得点率がアップしたという統計も出ている。

 ルビオは、14歳でプロデビューし、何年に一度の逸材と騒がれていた時でも、自分が将来バスケットボールで大成するとは思っていなかった。バスケットが好きで始め、プレーしていくなかで自信が増していったのだと、冒頭で紹介したインタビューでも話していた。
 しかし20歳でアメリカに渡ったあと、自分が得意なプレーをしているだけでは、世界最高峰の舞台でやっていけないことを痛感した。

 NBAで伸び悩むなかで最愛の母を病気で亡くし、メンタル的なバランスも崩しかけたこともあった。

 そこでルビオは瞑想と出会い、精神面のコントロール法を学び、今夏にエースとして母国を世界の頂点に導き、心身ともに充実した時期を迎えている。

「スペインは一番才能のあるチームでも、一番体格がいいチームでもない。けれどハートだけは一番ビッグだということを証明できた」

 ワールドカップに優勝できた理由を、ルビオはそう表現した。

 今大会での彼の思慮深い発言の数々は、風貌だけでなく、ネイティブ並に操る英語、そして人間的な熟成など、NBAに挑戦してからのこの8年間がルビオをいかに成長させたかを象徴していた。

 この大会で得た経験と自信。それがルビオの、新章の扉を開く。

文●小川由紀子
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