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NBA

元祖“二刀流”ダニー・エインジ。バスケットボールと野球、両分野でプロ選手となった“問題児”の人生【NBA名脇役列伝・前編】

出野哲也

2020.09.28

■大学に通う傍らMLBでもプレー。バスケと野球の二刀流選手となる

 当時はプロとして野球をするつもりはなかったエインジだが、1977年のドラフトでブルージェイズから15巡目で指名を受ける。3年52万5000ドルの年俸に加え、「大学が休暇の期間だけプレーしてくれればいい」という好条件もあり入団を決意。こうして彼は、幼い頃の夢だったプロ野球とカレッジバスケットの二刀流選手となったのである。

 ブルージェイズ入団2年目の夏には早くもメジャーに昇格。「ブルックス・ロビンソン(殿堂入りの名サード)の再来」とまで騒ぎ立てるメディアもあった。

 それでも毎年9月になると、スパイクからバッシュに履き替えてコートを疾走。シュート力に優れ、バスケットボールIQも高かったエインジは、1年時から平均21.1点を稼ぎ出すなど、その実力を遺憾なく見せつけた。
 
 ただ一方で、彼はかなりの問題児でもあった。のちにNBAでチームメイトになるグレッグ・カイトはこう回顧している。

「BYUでは試合前に禁止されていることが4つあった。ウェイトトレーニング、テレビ、ジャンクフード、泡風呂。だけどダニーはある試合の前に、その4つすべてやったんだ」

 審判の判定に不満を訴えたり、ミスをしたチームメイトを激しく非難することも日常茶飯事。天賦の才能に恵まれていたとはいえ、そんな生意気な若造がファンから好かれるわけもなく、エインジはどこへ行っても大きなブーイングを浴びるようになった。

 それでも最終学年には平均24.4点をマークし、ジョン・ウッデン賞を受賞。NCAAトーナメントでは2回戦でUCLA相手に37得点をあげると、スウィート16のノートルダム戦では残り8秒から相手を次々とかわし、決勝弾をねじ込んでみせた。(後編に続く)

文●出野哲也

※『ダンクシュート』2013年6月号掲載原稿に加筆・修正。

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