「彼なら大丈夫だよ。正しいやり方をわかっている。ＮＢＡでの経験も相当長いし、バスケットボールを知り尽くしている。人の気持ちもわかるから、すぐに学べるだろう。リズムと感覚を掴むまで時間は全然かからないだろうし、サポートしてくれる優秀なスタッフを集めると思う」

　ナッシュを支えるＡＣには、サンズで長年ナッシュとコンビを組んだアマレ・スタッダマイアー、かつてサンアントニオ・スパーズなどでプレーし、現役引退後はスパーズ、ポートランド・トレイルブレザーズでＡＣを務めたアイミ・ウドカらが入閣。そして一番の驚きは、マイク・ダントーニがＡＣとして迎え入れられたことだ。

　昨季までヒューストン・ロケッツを率いていたダントーニは、16年間のＨＣ生活で５球団を指揮し、レギュラーシーズンの通算成績は出場1199試合で672勝527敗（勝率56.0％）、プレーオフは110試合で54勝56敗（勝率49.1％）。2005、17年には最優秀ＨＣ賞を戴冠するなど、豊富なコーチングキャリアを誇っている。

　ナッシュとはサンズ時代の2004～08年に選手、ＨＣの関係で共闘。ダントーニの標榜するラン＆ガン戦術にナッシュのプレースタイルがピタリとハマり、サンズはリーグ屈指の強豪球団の地位を確立した。そんな恩師が自身の右腕となってくれたことは、ナッシュにとって何よりも心強いはずだ。そしてサンズの黄金期を築いたナッシュ、アマレ、ダントーニの集結が、ファンに大きなワクワク感を抱かせたことは間違いない。
  ■戦力は十分揃っているだけに、いきなり優勝を争う可能性も

　もちろん未知数の要素も多い。なかでもナッシュにとって最大のカギはケビン・デュラント、カイリー・アービングという２人のスーパースターと良好な関係を築けるかどうかだろう。デュラントとはウォリアーズのコンサルタント時代に心を通わせたと伝えられるが、アービングとの関係がどうなっていくかはわからない。

「カイリーはオールタイムでも私が最も好きな選手の１人。彼のような選手をコーチできるのは喜びだ。彼のことは、実際に対戦した彼のルーキー時代から知っているし、私が引退した後、５、６年ほど前に、ニューヨークで一緒に練習したこともある。彼の素晴らしいプレーを目にし、優れた人間性を持つ彼をより深く知る機会ができたことにエキサイトしているよ」