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NBA

【NBAデュオ列伝】雑草魂のスプリーウェルとエリートのヒューストン。対照的な2人がNYでタッグを組むまで|前編

出野哲也

2020.11.11

『(同じFAの)ミラーやスティーブ・スミスを差し置いて、僕が一番欲しいと言われたんだよ。心が動かないはずないだろう?』。だが、移籍1年目は平均14.8点と今ひとつ。人気者のジョン・スタークスのポジションを奪ったことでファンの反感も買い「ニューヨークではタフな者しか生き残れない。ヒューストンは真面目すぎる」などとも言われた。それでも大学時代やピストンズ時代のビデオテープを見返すなど、研究を重ねてプレーの質を向上させ、徐々にチーム内での地位を確立していった。

■NBA全体を揺るがせたスプリーウェルの首絞め事件

 若手ナンバーワンSGとして注目を集めたスプリーウェルだったが、その陰で徐々に素行の悪さも表面化してきた。練習に遅刻し、公式行事をすっぽかし、チームメイトとは殴り合いのケンカをした。ドン・ネルソンHCや、ネルソン派のハーダウェイとの関係も悪化していった。両者の亀裂は、オーウェンスやクリス・ウェバーらスプリーウェルと親しいチームメイトが、ネルソンとの確執からトレードに出されたことで決定的になった。シューズにオーウェンスとウェバーの背番号を書き込んで抗議の意を表し、ふてくされたような態度をとるスプリーウェルにファンは容赦なくブーイングを浴びせるようになった。

 95-96シーズンにハーダウェイがトレードされてからは、しばらく落ち着いたシーズンを送っていたが、97-98シーズンにPJ・カーリシモがヘッドコーチになったことで、彼の運命は激変する。
 
 カレッジのコーチ歴が長かったカーリシモは、NBAの選手に対しても学生のように扱うことで悪評の高い人物だった。「彼はちょっとばかり敏感すぎる。感情を害されると常識から外れたようなことをしたりするんだ」(元チームメイトのデイビッド・ウッド)という性格のスプリーウェルとは水と油だった。

 事件が起こったのは97年12月1日だった。この日の練習中、カーリシモから執拗に罵られ続けていたスプリーウェルがついにキレた。彼は「殺すぞ!」と叫びながらカーリシモの首筋をつかんで引き倒し、10秒以上にわたって首を絞め続けた。チームメイトたちに引き離されなければ、どんなことになっていたかわからなかった。

「『殺すぞ』とは言ったけど、本気で殺すつもりだったわけがないだろう。それに首を絞めてなんかいない。周りからそう見えただけだ」とスプリーウェルは釈明したが、蛮行の代償は高くついた。3年間2370万ドルを残していた契約が解除されただけでなく、リーグからは永久追放処分が言い渡された。選手会の訴えによって、処分はシーズン終了までの出場停止に軽減されたが、スプリーウェルの人間性に対する評判は取り返しのつかないほど悪化した。

 それでも他球団からすれば、彼の才能は看過できないものだった。マイアミ・ヒートやインディアナ・ペイサーズらも食指を伸ばしたが、ニックスがスタークスら3選手を放出して商談をまとめた。再びプレーできる喜びと、周囲の評価を見返したいという気持ちを胸に秘め、スプリーウェルはニューヨークへ向かった。(後編へ続く)

文●出野哲也

※『ダンクシュート』2007年1月号掲載原稿に加筆・修正。

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