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NBA

“ストレッチ4”の先駆け、ラシード・ウォーレスが大学時代に3ポイントを打たなかったワケ

秋山裕之

2020.11.13

ラシードとブラウンHC(左)はノースカロライナ大の同窓。大学ではともにディーン・スミスの教えを受けた。(C)Getty Images

ラシードとブラウンHC(左)はノースカロライナ大の同窓。大学ではともにディーン・スミスの教えを受けた。(C)Getty Images

 ノースカロライナ大で2年間プレーしたラシードは、平均13.0点、7.4リバウンド、2.3ブロックという成績を残した一方、3ポイントは2年間を通して4本しか放っておらず、成功はわずか1本にとどまっていた。

 それでも、ラシードは自身のシュート力に自信を持っており、名将へチャレンジを挑んだという。

「ラシードがコーチに向かって『私ならシュートを決められます』と言ったら、コーチは『君はシュートを決められると思ってるのか? ならコーナーから10本連続で決めてみなさい。そしたら打ってもいいことにしよう』と切り返してね。するとラシードは1本目を左手で放ったんだ。右利きなのにね。しかもそれが見事に決まったんだ。でもそこでコーチは怒ってしまったようだ」

 スミスはあのマイケル・ジョーダンを大学時代に指導した人物で、“ジョーダンを平均20点に抑え込んだ唯一のコーチ”と呼ばれるほど基本を遵守し、選手へ規律を求めたことで知られる。当時、ラシードのようなビッグマンが利き手でない左手で3ポイントを放ったことは、彼のなかで決して許される行為ではなかったのだろう。
 
 もっとも、ラシードはNBAキャリア16年で3228本もの長距離砲を放ち、1086本(成功率33.6%)を沈めている。

 ピストンズの指揮官として、ラシードを2シーズン指揮したブラウンは「ものすごくシュートが上手い。それにローポストゲームも素晴らしく、過小評価されたパサーでもある。それにどんな相手でもガードできる選手だった」と称えていた。

 ブレイザーズでエース格を務めていたラシードは、ピストンズではハミルトンやビラップスに次ぐオプションではあったものの、プレーオフを勝ち抜くうえでポストプレーや勝負どころでの3ポイント、高さと長さを兼備したディフェンスで大きく貢献した。その存在の大きさは、ほかならぬブラウンが最も感じていたのかもしれない。

文●秋山裕之(フリーライター)

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