香川の尽誠学園高を卒業後、ジョージ・ワシントン大で４年間プレーした渡邊は、2018年７月20日にメンフィス・グリズリーズと２年間の２ＷＡＹ契約を締結。２年間で計33試合に出場して平均8.5分、2.3点、1.5リバウンドをマークした。

　シューティングガード（ＳＧ）、スモールフォワード（ＳＦ）、パワーフォワード（ＰＦ）の３つのポジションをこなせる左利きのオールラウンダーは、ＮＢＡでも選手育成に定評のあるラプターズ傘下のＧリーグチーム、ラプターズ905に所属しながら昇格のチャンスをうかがうこととなる。

　一昨季のＮＢＡチャンピオンであるラプターズはオールスターのパスカル・シアカムやカイル・ラウリー、フレッド・ヴァンブリートにノーマン・パウエル、ＯＧ・アヌノビーといった選手たちを軸に、今季もイースタン・カンファレンス上位の戦力を誇っている。自前の選手を育て上げ、強豪の地位を築いてきたこの組織は、渡邊にとっても選手として大きく成長できる環境と言えるだろう。

　ラプターズは今後、23日にニューオリンズ・ペリカンズとのシーズン開幕戦に臨む。来年２月８日には古巣グリズリーズ戦、八村塁が所属するワシントン・ウィザーズとは２月10日と、注目の試合が立て続けに組まれている。渡邊が出場機会を掴み、昨季に続く“日本人対決”が見られるか必見だ。
  　では、ラプターズのコーチ陣は渡邊をどのように見ているのか。2013年からラプターズのコーチングスタッフを務め、昨季までの２シーズンはラプターズ905のＨＣ、今季から再びアシスタントコーチとなったジャマ・マーラレラはこう話す。

「ユウタはこの挑戦を受け入れる準備ができていると私は見ている。そして我々とともにどんなことができるのか、それに自ら追い風を起こそうとしているんだと思う。彼はシュートが本当に上手い。それはこれまで残してきたスタッツ以上のものだった。でも最も重要なのは、彼が正しくプレーしていること。彼が見せるディフェンスはまさに我々が彼に求めているものであり、全てのことをコツコツとこなすことができる。それに最高のチームメイトで、このチームの皆は彼のことが大好きなんだ」

　メンフィスでの２年間を経て、新天地でキャリア第２章を歩むこととなった渡邊。26歳の好青年がラプターズという組織の中でどのような成長を見せていくのか。今季もその活躍から目が離せない。

文●秋山裕之（フリーライター）

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