この日は42分間でキャリアハイの50本のシュートを放ち、22本を成功させて60得点。３ポイントは21本中６本成功と効率的とは言えなかったが、最終的にはとてつもない数字を残し、チームに勝利をもたらした。そういった意味でも、いかにもコビーらしいパフォーマンスだったと言えるのではないか。

「皆さんは俺の心に常にあり続ける存在だ。本当に心から感謝しています。心の底からありがとうと言わせてください。みんなを愛しています」
  　試合後のスピーチでファンにそう感謝の言葉を述べたコビーは、続いて有名なラストワードを残す。

「マンバ・アウト（マンバは去っていきます）」

　そう言い終えると、主役は静かにマイクを置き、ファンの歓声に応えながらコートを去っていった。それはまるで映画のラストシーンのようで、今後も忘れられることはない。他の多くのハイライトと同様、“引退試合での60点”もコビー・ブライアントの伝説のひとつとして語り継がれていくだろう。

文●杉浦大介

※ダンクシュート『コビー・ブライアント追悼号』原稿に加筆・修正

【PHOTO】「Mr.レイカーズ」＆「Mr.NBA」史上最高のスーパースター、コビー・ブライアント特集