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NBA

オーランドを熱狂させたシャック&ペニー。史上最強に“近づいた“コンビの結成秘話【NBAデュオ列伝|前編】〈DUNKSHOOT〉

出野哲也

2021.02.17

 ディフェンス面でもその巨体でゴール下を占領し、面白いようにリバウンドをとりまくった。平均23.4点、13.9リバウンドの好成績を残したシャックは、文句なしに新人王に選ばれ、チームは前年よりも20も勝ち星を伸ばした。実力だけでなく、その愛敬のある顔立ちや振る舞いも手伝って、シャックはたちまち人気者になった。

 その1年後にマジックに入団して来たのがペニーだった。メンフィス州大のペニーは、93年のドラフト1巡目3位でゴールデンステイト・ウォリアーズに指名された。そしてドラフト直後に成立したトレードにより、1位指名のクリス・ウェバーとの交換で、3つの1巡目指名権とともにマジックへ移ったのである。
 
 ペニー獲得を強く主張したのが、他ならぬシャックだった。シャックはペニーとは旧知の仲で、彼のポイントカードとしての才能を高く買っていた。
 
 2人が最初に会ったのは高校時代のことだった。全米規模の選抜大会で、同じチームでプレーした経験があったのである。その後、93年にカレッジ・バスケットボールの世界を描いた『ブルー・チップス』という映画に、2人はバスケットボール選手役で出演した。シャックはプロ1年目のシーズンを終えたばかり、ペニーはプロ入りの決意を固めた時期のことだった。

「シャックにはいつも笑わせられっぱなしだったよ。まったく天性のコメディアンだね」

 撮影を通じて、2人は次第にその絆を深めていった。ともに幼い頃に実父と別れ、幸福な少年時代を過ごしたとは言えなかったという共通点もあった。極めて珍しい名前を持っている点も同じである。シャキール(Shaquille)とは〝小さな戦士″という意味を持つ、イスラム教の聖典コーランの言葉で、アンファニー(Anfernee)は母親の友人からもらった名前だった。

 シャックはマジックの首脳陣にペニーを強力に推薦した。ペニーも自らマジックに売り込みをかけ、トライアウトで実力を証明し、指名を決意させた。

 だが、ウェバーの獲得を望んでいたマジック・ファンはトレードに不満だった。彼らはペニーにブーイングを浴びせ、ペニーは心に傷を負った。彼は後に〝人生最悪の経験″としてこのブーイングを挙げている。

 
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