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NBA

コビー&シャック——最高のデュオにして最大のライバルが生んだ醜聞やトラブル、そして栄光【NBAデュオ列伝|前編】

出野哲也

2022.02.10

 だが、コビーは誰もが驚くほどの急速な成長を見せ、シャックとの差を詰めてゆく。2年目には平均得点を15.4点に伸ばし、史上最年少でオールスターに選出。体格やプレースタイル、そして負けず嫌いな性格など、ジョーダンと多くの共通点を持つコビーは、神の後継者として意識され始めた。

 2人の性格の違いも、次第に明白になっていく。陽気で社交的、さまざまな趣味を持つシャックとは対照的に、コビーは孤独を好み、バスケットボール以外のことにはほとんど関心を示さず。「チーム内に親友はいるかと聞かれたら、答えはノーだ」と語るなど、レイカーズでの立ち位置も微妙だった。シャックについても「何かを一緒になってするということはない。立ち話すらしない。お互い冷めているんだ。彼には、僕と同じようなバスケットに対する情熱があるようにも見えない」と、厳しい見方をしていた。

 コビーが成長するにつれ、プレーの上でも障害が生じる。シャックは自分を軸にしてプレーが展開されるのが当然だと思っていた。ビッグマンに最初にボールを通すのが、バスケットボールのオフェンスの基本だからだ。

 しかし、コビーはそんなことには全然お構いなしに、シュートチャンスさえあれば躊躇せず打ちまくった。そうしたプレースタイルに、シャックを筆頭として多くのチームメイトたちは反感を抱く。これではチームワークが生まれるはずもなく、プレーオフには出場しても、ファイナルまで辿り着けずに敗退するシーズンが続いた。
 
 1999―2000シーズン、ブルズを6度の王座に導いた名将フィル・ジャクソンがヘッドコーチに就任。ブルズ時代にNBAきっての問題児ロッドマンを操ることに成功したジャクソンは、レイカーズでもそのカリスマ的指導力を発揮する。

 シャックにはチームリーダーとしての自覚を持たせる一方で、コビーに対しては自分勝手なプレーを厳しく戒めた。こうしてチーム内に秩序が生まれたレイカーズは、たちまちリーグ最強チームとなる。2月から3月にかけては怒涛の19連勝も記録し、年間では67勝。自己最高の平均29.7点をあげたシャックは、初のシーズンMVPに選出された。

 プレーオフではカンファレンス決勝でポートランド・トレイルブレイザーズに苦戦を強いられたが、ファイナルではインディアナ・ペイサーズを4勝2敗で下して12年ぶりの優勝。6試合で平均38点、16.7リバウンドと大暴れしたシャックはファイナルMVPに輝き、コビーも第4戦ではシャックがファウルアウトした後、オーバータイムで8得点をあげて勝利の立役者となった。
 
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