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NBA

”アメリカ代表再生計画”——屈辱の敗戦から4年、北京五輪で栄光を取り戻した”リディームチーム”の軌跡

出野哲也

2019.11.29

バスケ大国・アメリカのプライドを取り戻すべく結成された“リディームチーム”が、北京五輪で2大会ぶりの頂点に。(C)Getty Images

バスケ大国・アメリカのプライドを取り戻すべく結成された“リディームチーム”が、北京五輪で2大会ぶりの頂点に。(C)Getty Images

 こうして、アルゼンチンに次ぐFIBAランキング2位で迎えた北京五輪。レブロンをはじめ、世界選手権の中心メンバーは全員が代表に残ったほか、ヒザの手術で同大会を欠場したコビーは07年のアメリカ予選から参加するなど、とりわけ強い熱意を持って大会に臨んでいた。

 人選も若手からベテランまで幅広く、明らかに4年前と心構えが違っていたアメリカ代表は、初戦で開催国の中国に31点差で大勝し、3試合目にはギリシャ相手に世界選手権の雪辱を果たす。コビー曰く「最初の試験に合格」すると、4戦目では同大会王者のスペインにも37点差をつけ圧倒。“強いアメリカ”が戻ってきたことを強烈に印象づけた。

 どれほど彼らが気合いを込めてプレーしていたかは、スペインに犯させた28個のターンオーバーに現われていた。スペインのエースであるパウ・ガソル(当時レイカーズ)も「彼らは本物だ。この大会に真剣に取り組んでいる」と脱帽。予選ラウンドは5戦全勝で突破した。

 決勝ラウンドでも油断は微塵もなく、準々決勝はオーストラリアに31点差をつけ問題なく片付けると、準決勝もアテネ五輪王者のアルゼンチンに20点差で快勝。同国の大黒柱であるマヌ・ジノビリ(当時スパーズ)が左足首を痛め、第1クォーターで退いたのにも助けられはしたが、彼のケガがなくても、結果は変わらなかっただろうと思わせるほど隙のない試合運びだった。
 
 最後の壁は、84年のロサンゼルス五輪以来、決勝では2度目の対戦となるスペインだった。最高の集中力を持って臨んだアメリカは、試合開始から9本中7本のFGを決め、序盤戦の主導権を握る。しかしながら、P・ガソルを筆頭に4人の現役NBA選手が揃い、17歳の新星リッキー・ルビオ(現サンズ)も加わっていたスペインは、本来の先発PGホセ・カルデロン(当時ラプターズ)を故障で欠いていたにもかかわらず、予選ラウンドで当たった時よりもはるかに手強かった。

 第4クォーターに入り、8分13秒の時点でルディ・フェルナンデス(元ブレイザーズほか)に3ポイントを決められ91-89と2点差まで迫られる。それでもアメリカは浮き足立つことなく、コビーを中心に着実に得点を重ね再び突き放すと、残り3分10秒にはコビーがダメ押しとなる4点プレー。118-107の最終スコアで、通算13度目、2大会ぶりの王座に返り咲いた。

 8試合すべてに2桁点差で圧勝したのは、96年のアトランタ大会以来。当時よりも対戦相手のレベルが上がっていたことを考えると、大きな意味を持つ数字だった。
 
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